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松田博資調教師の引退に寄せて

| 3件のコメント

昨日2016年2月29日をもって松田博資調教師が定年退職をされました。

私が一口馬主を始めて、初めて勝利をしたのも松田博資厩舎で数ある厩舎の中で一番思い入れがある厩舎の解散ということで今回はその勇姿を見納めるべく、土曜日に阪神競馬場まで遠征してきました。

松田博資厩舎は前週までJRA799勝。区切りとなるJRA800勝まであと1勝。そこにちょうど出走するのが愛馬ラブラバード。これまで京都で3勝、福島で1勝と坂のあるコースでは実績がなかったので正直、半信半疑ではありました。


しかし、レースではこれまで前に壁がなくなると折り合いをなくしていたのがまるで嘘かのように2番手で折り合い、直線では力強く抜け出し、見事に師の引退に華を添えることができました。この記念すべき勝利の口取りにウィーナーズサークルの中で立ちあえたことは一生の思い出です。

川田騎手のサイン入りメモリアルゼッケン

川田騎手のサイン入りメモリアルゼッケン

さて松田博資先生を語る上で個人的に一番思い出に残っているレースを取りあげるとしたら、2011年のジャパンCです。

そのレースを勝利したのはブエナビスタ。ブエナビスタは前年のジャパンCでも1位入線するも降着という裁定となり非常に悔しい思いをしました。そこから「なんとかジャパンCを獲らせてあげたい!」との思いで1年を過ごしてきたのだと思います。普段、レースに勝利してもサバサバとしている松田先生がこの時ばかりは両目を潤ませて「本当によかった。これで無事に牧場に帰らせてあげられる…」という、まるで花嫁を送り出す父親のような表情をされていたことは今でも脳裏に濃く焼き付けられています。

松田博資厩舎は調教方法もユニークでした。

調教はCWで長めに乗って、末脚を伸ばす。レースでも徹底した末脚勝負にこだわり、その考え方には賛否両論あったかと思います。しかし毎回、全体を速いタイムにまとめることに固執しないことで馬に対して不要な負担をかけず、現役を長く続けられる要因にもなっていました。

私の愛馬でいえば、ラフォルジュルネが6歳3月まで現役、前述のラブラバードも今年で6歳ですが今回のように活躍をしています。直近のキャロットクラブのインタビューでも「(折り合えれば)どんな馬でも2000mまで持つ」と答えるなど、独自の競馬観を持った名調教師だったことがわかります。

LaBravado

そして、何より私が松田先生に全幅の信頼を寄せていたのは「馬を見るのが好きで、細かい変化にも気づき、自分のやり方で育てる」という意識がひしひしと伝わってきたからです。

いまノーザンファームの生産馬を預かる多くの厩舎がノーザンファームしがらきなどの外厩を活用して馬を育てています。そんな中で松田先生は自分の手元において馬を育てるということにこだわっていました。ラフォルジュルネも引退までの約6ヵ月間、そしてラブラバードも今回のレースまで3ヵ月間、一度も放牧に出さずに厩舎で世話をし続けました。

もちろんキャロットクラブからの預託馬が多くなった時期には在厩頭数制限の問題で自分が思い描く育成をできなかった時もあったでしょうが、その信念は最後までお持ちだったように感じます。最近では牧場側が育成の主導権を握ったり、外厩先から10日でレースに出走する馬も増えたりと調教師の仕事が形骸化しているような厩舎も少なくありません。こうした中にあって、独自の競馬観と信念を持って馬を育て続けた松田博資調教師はまさに“職人”と呼ぶに値するのではないでしょうか。

同じく定年退職される橋口弘次郎調教師と楽しそうに談笑する松田師

同じく定年退職される橋口弘次郎調教師と楽しそうに談笑する松田師

JRA通算7001戦800勝(うちGⅠ19勝、重賞73勝)。名伯楽ここにあり。
松田博資先生、長い間、本当にお疲れ様でした。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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3件のコメント

  1. ロゴタイプこそ、残念な結果になってしまいましたが
    最高の土曜日、おめでとうございます。
    私も、ウインズでしたが、御堂筋Sを、せっかくなのでラブラバードに投票して拝見しました。
    4コーナーの姿を見て、これは勝ったと早くも口をついて出てしまいました。
    混戦を制しての800勝も良いですが、川田騎手がゴール板上で噛み締める間があったこと、
    ああいう絵でメモリアルが決まるのは、幸せなことですね。
    それが愛馬の勝利とあらばなお格別、お慶び申し上げます。
    今後の活躍も、まずは折り合い一つになってくるでしょうか。

  2. エージェント制や大規模化する外厩など、競馬を取り巻く環境が変わるにつれて騎手と調教師と馬主の関係がドライになってる気がします。
    そのなかでもマツパクさんは馬作りに信念を持ち、高田潤、橋本美純、晩年は川田、菱田と騎手の起用にも信念を感じました。
    武豊、藤田、アンカツ、トップジョッキーといえども、時には非情な決断をすることもありましたが、それも馬を思うがゆえのことだったんだろうと思います。
    気骨のある調教師さんでした。

  3. >黙殺常習犯さん
    お祝いのコメントありがとうございます!
    黙殺さんは4角で勝ったと思われたようですが、私は最後の坂でたれると思っていたので最後までハラハラ、叫びっぱなしでした(笑)
    本当に好きだった調教師さんなので、そのメモリアル、最後の勝利を自分の愛馬が飾ってくれたことは競馬をやめるまでの最高の思い出だと思います^^

    ロゴタイプは明らかに気迫が足りなかったこともあります。ここからどれだけ立て直せるか陣営に期待したいと思います。

    >sea-biscuitさん
    コメントありがとうございます。
    最後までアンチも多かった調教師ではありますが、この前の小倉大賞典もアルバートドックに対して「4角までラチ沿いを走らせろ」と指示するように確かな勝負強さがあった調教師さんでした。
    おっしゃられる通り、環境の激変の中で軸がブレなかった数少ない方で頼もしい存在でした。それだけに引退は寂しい限りです。

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