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【血統トーク】母系Sadler’sWellsの取扱説明書

| 3件のコメント

先週の東京の新馬戦でレッドガーランドという馬がデビューするも1着から7.9秒差という大敗を喫した。この結果を起点に血統の話をしてみたい。

まず母フェアリーバラードの繁殖成績をチェックすると、SS系の仔は3頭がデビューして未勝利。一方、非SS系の父を迎えると6頭中4頭が中央勝ち上がり。グラッツィアの7勝を筆頭に合計20勝をあげている。近親に父ディープインパクトでダノンバラードがいるので、そうした背景もあってSS系との交配を試しているのだろうが、残念ながら結果は出ていない。

この結果を分析していくと2通りの結果を導き出せる

1.フェアリーバラードの繁殖能力が低下している
2.SS系と母系のSadler’s Wellsの相性が良くない

1については12歳時の仔(レッドロザリー)から未勝利が続いているので、仮説としては十分有力な見方である。ただ、今回は話を前に進めるために2の可能性について話してみたい。

少しでも血統をかじったことがある方ならSadler’s Wellsに対して重厚なイメージを持っているだろう。ひと昔前までは特にその印象やイメージは強かった。ただ数年前にそのイメージを変えてしまう“事件”が起きてしまう。それがタッチングスピーチ(父ディープインパクト、母父Sadler’s Wells)のローズS快勝だ。これで少し世間の評価が狂い始めたのではないかと筆者は思っている。

そして、この流れは今後も加速しそうな気配がある。それはFrankel産駒が台頭してきたからだ。FrankelもSadler’s WellsからGalileoを経由する。昨年のPOGが開幕するまでは「日本で走るには重すぎるのでは?」という懸念があった。その不安をミスエルテやソウルスターリングが見事にふっ飛ばしてしまったわけだが、果たしてこの2頭だけをもって【Fankel産駒は日本の馬場でも問題なく走れる】と結論づけていいのだろうか?

話はここから本題にはいっていくが、筆者が注目しているのは《性別》という観点だ。

■Sadler’s Wellsは牝馬がいい?

結論を先に書いてしまうと「SS系種牡馬産駒の場合、母系にSadler’s Wellsが入るなら牝馬が好ましい」というのが筆者の現時点の仮説。

その理由は推測の域を出ないが、Sadler’s Wellsは重厚な部分を伝えることが多く、素軽い牝馬に出たほうがそのデメリットを軽減できるというものだ。馬体に関しては筆者は専門外だが、牡馬に出ると、たとえば余分な筋肉がつきやすいとか、筋肉が固くなりやすいなどの遺伝的なデメリットが大きくなるのかもしれない(ファルヴラブ産駒の牡馬に同様の現象が確認されている)。

正確な理由の究明は専門家の方々に任せるとして、上記のタッチングスピーチのケースでいえば、姉は切れ味を武器にしていたのに対して、全弟のムーヴザワールドはそこまで切れ味がない(上がり1位は新馬戦のみ)。このあたりも「牡馬だから俊敏に動けないのでは?」と感じる部分だ。

そしてハーツクライ産駒でも似たような現象が起こっている。

今年の年頭に以下のような記事を書かせて頂いた。

【参考】2017年はSadler’s Wells持ちのハーツクライ牝馬に注目
http://pog-info.com/archives/3899

詳しい内容は記事を読んで頂くとして、昨年2016年は3頭のハーツクライ産駒牝馬が重賞を制覇したが、3頭とも母系にSadler’s Wellsを内包していた。ここで面白いのは「母系にSadler’s Wellsを持っているハーツクライ産駒の牡馬はさっぱり結果が出ていない」という点なのである。ハーツクライ産駒の配合のポイントとして「母系にSpecial[もしくはその全弟のThatch]が入るとよい」という話は何度もお話ししているが、Sadler’s WellsもSpecialの血を内包している。しかし牡馬に限っては本当に結果が出ていないのである。

牝馬が結果を出している以上、ハーツクライ(および他のSS系種牡馬)とSadler’s Wellsの相性が悪いというよりは、牡馬に関してだけ何らかの不都合が発生しているというのが筆者の見解。

ちなみにキャロットクラブゆかりの血統で例をあげると、たとえばマリアライトの母・クリソプレーズや、シンハライトの母・シンハリーズもSadler’s Wellsを内包している。シンハライトに関しては母系にヘイロー系のGlorious Songがあるので総じて素軽さが遺伝されるのか一族は芝で活躍しているが、それでも牝馬のほうが大きな活躍をしている。クリソプレーズの仔に関しても、マリアライトが芝のG1を2勝したのに対して、クリソライトやリアファルなどはダート適性が強く出た点は、やはり「Sadler’s Wellsが牡馬には力強さ(=鈍重さ)を強く遺伝してしまっている」現象のひとつなのではないかと考えている。

そして冒頭でFrankel産駒の話をさせて頂いた。これも昨年から今年にかけて、Frankel産駒は牝馬だけが活躍した点がこの「Sadler’s Wellsは牡馬に出ると素軽さがなくなる」という仮説に合致しているからだ。Frankelは父系ではあるが、似たような傾向を示す可能性は十分にある。この先、Frankel産駒の牡馬で芝での活躍馬が出てくればこの心配は杞憂に終わるだろうが、現時点においてはFrankel産駒の牡馬に“疑いの目”を持っておいてもいいのではないだろうか。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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3件のコメント

  1. 桜木さん
    母系サドラーの話といい
    Frankelの牡馬の話といい

    私には頭が痛いところではあります(笑)

  2. 鋭い考察だと思いました
    フランケル産駒の牡馬が日本で走って
    いつか種牡馬になればと妄想してましたが
    そう簡単ではないかもしれないですね。

  3. >千代翁さん
    まぁ仮説にすぎませんので(笑)
    ただ、ソリッドドリームの走りが魅力的である一方で、少しパワフルすぎる感じがあるのでそのあたりはこういう背景が原因かもしれません

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