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【一口馬主】DMMドリームクラブについて考えてみた

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先日のセレクトセールで話題となったDMM.comが主催する新しい一口馬主クラブ「DMMドリームクラブ」について現時点で考察記事を書いてみた。なお筆者もこまめに情報をチェックしているつもりだが、正確に情報を把握できていない点も多々あると思うので誤りがあればご容赦頂きたい。

■新しい一口馬主の形?

まずいろいろな報道を見ていて、これは一口馬主というよりも【仮想馬主】というイメージに近い。1万分の1の口数で投資リターンを求めるのは非効率で、少なくともすでに一口馬主を経験されている方であれば、その点を求めてDMMドリームクラブに加入することに消極的ではないだろうか。

DMMドリームクラブでは、アプリを使って会員に向けて愛馬情報を提供するという。これは従来の一口馬主が運営する公式サイトがアプリに変わっただけなので目新しいことはないが、そのアプリで今までのクラブになかったコンテンツを提供できるかどうかがひとつのカギになってくるのではないだろうか。

たとえば、最近、リアルタビスタという企画で行なわれている「馬房の定点観察(中継)」のようなコンテンツがあれば、リアルタイムで愛馬を観察することができる。従来のクラブでは牧場までいって見学する必要があったのが現地に行かなくても愛馬を見ることができるので、これは会員のメリットになりうる。そして、これは牧場見学の手配などに人員を割かなくてもよくなるので、クラブ側にもメリットがある話ではないだろうか。

この点についてはリアルな馬を生で見学したいという人にはウケが悪いだろうが、誰もが交通費を出して気軽に牧場へ足を運べるわけではないので、これをメリットに感じる消費者層も一定の割合で存在するのではないだろうか。

それ以外にも、たとえば厩舎側と連携して、追い切りをする人の頭にカメラをつけて撮影した映像を公開したり(昨年、角居厩舎が独自に挑戦していた)、口取りへの会員参加がない代わりに表彰式の映像を会員向けに配信したりするなど色々な可能性は考えられるのではないだろうか(おそらくDMMとしては極力、現地にスタッフを送るなどの人的負担は避けたいと考えているはずなので会員の口取り参加はないと筆者は予想している)。

いずれにしても、これから細かいサービス内容が決まっていくはずだが、そのメリット・デメリットに応じて消費者が決まっていくと思うので、筆者としては「従来のクラブにないサービス」に力を入れて頑張って欲しいところだ。

■募集価格の妥当性

次に「落札価格に上乗せしすぎではないか?」「経費・クラブ利益の不透明性」なども話題になっている。この点についても予測の範囲で考察してみたい。

まず現時点で発表されている点は以下の通り。

●募集価格には維持費も含まれている
●最終的に余った維持費は会員に返却される

今回は、1歳馬のセールで購入され、一口3万円台で募集されるとリリースがあったラヴズオンリーミーの2016♀を例にとって話を進めてみたい。本馬は1億6千万円で落札され、3億円台で募集されるとされている。つまり1億4千万円を余分な金額として事前に徴収していることになる。

最新の東スポの記事によれば

「6歳末の引退を想定した維持費を従来の募集金額に上乗せ。それが最終的募集額になります。予定より早く引退すれば、その分の維持費は返金し、逆に7歳以降も走らせるほうがプラスになるとの予測が立てば、それまでに獲得した賞金を維持費に充てることになります」と説明するのは(株)DMM.com取締役の野本巧氏。

という。預託料は放牧先の施設や厩舎によって変わってくるが、筆者の経験則でいえばノーザンファーム系の外厩で40万円~/月、厩舎で60~100万円/月が一般的な数値といったところだろう。今回はそのおおよその平均値として70万/月でざっくり計算する。

70万円/月×60ヵ月[2歳1月~6歳12月]=4,200万円

今回のラヴズオンリーミーの2016の場合、クラブは1億4千万円を上乗せしており、これだと1億円近く余分に上乗せしていることになり、このあたりの妥当性をどう考えるかで評価は変わってくる。

ここで今回のDMMドリームクラブのひとつのポイントになりそうなのが「(ほぼ)完全前払い制」という点だろう。今のところ、DMMドリームクラブは原則的に6歳末まで会費・維持費の追加支払いを求めないとしている。ここは大きなポイントで、裏を返せば将来的な大きな支払いのために過剰とも思える金額を預かっておく必要があるともいえる。

たとえば海外遠征。1回の遠征で1~2千万円ほどの経費が掛かることもある。従来のクラブであればその度に会員に追加負担を要求するのだが、おそらくDMMはそれをしないで預かったお金の中から工面する算段なのではないだろうか。そうだとすれば募集時点で1億円ほど上乗せしていても納得できる部分はある。

ただ気になるのは、前述の東スポの記事によると余分な維持費の返金の条件が【予定より早い引退】とも読み取れ、たとえば6歳末まで現役をまっとうし、かつプールしていた預託料が余っている場合にその清算・分配を行なわない可能性も否定できない。引退時の清算については、各自がしっかり規約を読みこむ必要がありそうだ。

■ランニングコストの問題

ここでランニングコストについても触れてみたい。一口馬主をやる上で、意外と予測がつかないのがランニングコストの問題で、最終的に最初の出資額を超える支出を求められるケースもある。

それに比べて、DMMドリームクラブの方式は「完全前払い制」なので安心できる。イメージとしては株式投資に近く「株主は購入した株式の金額以上の責任を負うことはない」。つまり、前述のラヴズオンリーミーの場合は最初に支払いした3万円~以上の支払いを求められる可能性は限りなく低いはずで、これはメリットと言えるのではないだろうか。

逆の事例として、今年キャロットクラブではエピカリスという馬がアメリカ遠征を行ない、その遠征費の負担を会員に求めた。総額2千万円、一口あたり5万円の追加負担ということで波紋を呼んだ。遠征の是非はさておき、DMMドリームクラブではこういう事態起こらない(はず)というのは消費者としては安心できるのではないだろうか(※ただしどのように海外遠征の意思決定を行なうかはクラブ側に裁量があるはずで、維持費の余りを会員に返却する規定があるならば余計・無謀だと思われる遠征を決行すれば非難の対象となるだろう)。

そして、もうひとつ「クラブ会費」というランニングコストについても触れておきたい。

一口馬主をやる上で、この負担はかなり大きい。私事で恐縮だが、今年のダービーを勝って、これまでの出資金・維持費などはすべて回収したが、残念ながらクラブ会費の分だけ丸々赤字という状況だ。それだけ月々の負担のクラブ会費はバカにできない支出である。

あくまでイメージの話だが、月3千円のクラブ会費を400口で計算すると、

3千円/月×400口=120万円

それを6歳3月まで支払うと…

120万円×60ヵ月=7,200万円

という「負担」に捉えることもできなくはない。

もちろん、従来のクラブには、口取りの権利や会報誌が送られてくるなどの特典もあるので、その価値の対価として捉える方もいるだろう。しかし、そういった特典・サービスにメリットを感じないのであればDMMの方式に恩恵を感じられる方もいるのではないだろうか。特に筆者のように出資頭数が少ない場合はそのメリットをより大きく感じられるだろう。

■DMMはどこで儲けるか?

ここが一番重要なポイントなのだが「クラブの利益はどこで生み出されるのか?」という点が最大の焦点になってきそうである。

現時点で考えられるのは以下のような利益

1)会員向けのアプリの売上
2)募集価格へのクラブ利益の上乗せ
3)獲得賞金のクラブ分の引き抜き
4)種牡馬、繁殖牝馬の売却益

※クラブ会費はないと考えているので割愛

まず1)会員向けアプリは一部報道によると、500円で有料DLになるとの話もあった(※未確定情報)。ただこれは従来のクラブの入会金に相当するものだと思われ、かつアプリ制作などにもお金がかかっているはずなので妥当な売上だろう。

次に2)募集価格へのクラブ利益の上乗せだが、これも従来のクラブもセリで落札した馬に利益を上乗せするので特にDMMが特殊なことをしているわけではない。

ただ、従来のクラブと異なるのは、従来のクラブでは募集価格を公表した時点で、2の利益額は確定しているという点。それに対してDMMはそれをひっくるめて「費用」とする可能性が高く、この不透明性は危険視しておきたい。つまり、維持費と称してこの金額を調整することも可能なので、この上乗せ金額を早い段階で明示する、もしくは疑念を持たれないように透明性の高い情報公開をできるかどうかはひとつの大きなポイントになるだろう。

3)獲得賞金のクラブ分の引き抜きについても従来のクラブで行なっている利益の作り方なので、特におかしいことはないと思われる。ただDMMドリームクラブに関してはクラブ馬の頭数が多くないので、この3の利益はほとんどアテにできず、クラブ運営の軸にはなりえないだろう。

そして4)種牡馬、繁殖牝馬の売却益のゆくえは、これからDMMドリームクラブに入会する上で会員がしっかり確認しておかなければいけない点だろう。

たとえばキャロットクラブの場合、牝馬であれば、ノーザンファームで繁殖にあがるにしてもオークションに出されるにしても、一度ノーザンファームが募集価格の10%で買い上げる規定になっている。これをDMMドリームクラブに当てはめた場合、3億円×10%=3千万円は会員に返却される計算になる。一口あたり3千円ではあるが、これが戻って来るかどうかは大きなポイントだろう。

DMMドリームクラブに入会される方は、この売却益の分配規定の有無、ならび「何の価格の●%が分配されるのか」という点は注意するべきだろう

上記の計算では仮計算のため「3億円に対する10%」と書いたが、この3億円という金額は預託料や遠征などの準備金を含んだ金額なのでノーザンファームがその金額の10%で買い上げるはずがない。おそらくキャロットクラブなど従来のクラブとは異なる規定が設定されると予想されるので会員がしっかり規約を読む必要がある。

■まとめ

先に結論を書くと「いくつかの懸念点が解消・明示されるなら参加する可能性はある」というのが現時点の評価。

「1万分の1」という口数に対して否定的な意見も散見されるが、ここは大きな問題ではないと筆者は考えている。この考え方にで立てば、40口クラブから見れば400口クラブは劣る(魅力的ではない)という見方になるが、一口馬主クラブを口数の差で比較することに意味はないだろう。

また投資という面でも、自信があれば複数口申し込めばよく、この1万分の1という点はさほど大きな問題ではない。前払い制を採用する以上、どんな馬でも5千万円、1億円…ほどの金額の上乗せが必要になり、最低ラインの1億円を基準にすれば400口に分割しても25万円/口、1000口でも10万円/口となる。DMMはおそらくすでに自社で囲い込んでいる、一口馬主にそこまで興味がない消費者層(リスト)にアプローチしていくことが予想され、その顧客層に対していきなり10万円以上のコンテンツを売っていくことはあまり現実的なマーケティングとは言えない。

むしろ焦点となるのは 牧場見学や口取りなど従来のクラブで提供されているサービスがない代わりに、それ以上の価値を提供できるかどうか? だろう。

残念ながら現時点で報道されている情報の中にはそれを伝えるような情報はない。【感動体験の共有】を謳う以上、従来のクラブでは体験できないものを提供できるかどうかにかかってくる。そうでなければ、DMMドリームクラブが提供する感動体験が、従来のクラブで得られる感動に勝るとは考えられないからだ。

そして、それらをクリアした上で、上記に書いた「引退時の清算規定」「クラブ利益の透明性」「種牡馬、繁殖牝馬の売却益の分配規定」の点が劣悪でなければ、そこまで従来のクラブから大きく劣るものではないだろう。

筆者はPOGから競馬の世界に入っていき、その延長上で一口馬主の世界にも足を踏み入れた。その経験から言えば、やはりPOGで指名しただけの馬よりも少しでも自分のお金を出した馬への愛着は変わってくる。そしてそういった馬をパドックやレースで写真を撮るだけでも大いに楽しめることは間違いない。競馬が単なる賭け事でなくなり、より魅力的なものとなった。今回のDMMドリームクラブをきっかけに競馬が単なるギャンブルではなく、愛着のあるものへと変貌していくのであれば、それは悪いことではない。ぜひDMMドリームクラブには従来の一口馬主クラブが見習いたくなるような画期的なサービスを期待したい。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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1件のコメント

  1. 良血馬が3万円台で一口持てるのは魅力的だと思いました。
    馬名も募集してくれるなら言うことなしですね、ディーエムドリームとか名付けられるとゲンナリしますし(笑)

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