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世代比較論の落とし穴

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今年の秋の競馬予想の中で「今年の3歳牡馬はレベルが高い・低い」というような論点が目立った。この世代比較論は、あまり有用ではないが、その考え方について筆者なりにまとめてみたい。

■現3歳牡馬に対する誤解

今年の3歳ほど短期間で評価がひっくり返った世代も珍しいだろう。その理由はまず「2歳戦で多くの牝馬が重賞を制した」ことが原因だろう。

小倉2歳S:レーヌミノル
新潟2歳S:ヴゼットジョリー
デイリー杯2歳S:ジューヌエコール

これ以外にもソウルスターリングなど牝馬の活躍が目立った。この時、多くの人の頭の中に以下のような図式が描かれたはずだ。

現3歳牝馬>現3歳牡馬

この図式自体は印象として問題ない。正確かはさておき、実際に3つも重賞を勝っているのだからそう感じることに問題はない。マスコミがこの世代の牝馬に関して「史上最高レベル」というような表現もしていたぐらいだ。問題はこの先にある。なぜか人々の頭の中に以下のような図式が描かれることになる。

現3歳牝馬>平均的な牡馬レベル>現3歳牡馬

左2つの強弱については違う印象を抱く方もいるかもしれないが、いずれにしても「牝馬は強いが、牡馬は弱い」という世論が形成されていくことになる。「現3歳牝馬>現3歳牡馬」という図式が成立していると仮定しても、実は現3歳牡馬もレベルが高く、「現3歳牝馬>現3歳牡馬>平均的な牡馬レベル」という図式になる可能性もある。しかし、ほとんどの人がその可能性を考慮せずに「平均的な牡馬レベル>現3歳牡馬」という誤った印象づけをされてしまった訳である。

そして、それを決定づけたのが「遅い決着タイムのダービー」だった。ただ、これは以前のコラムにも書いた通り、世代レベルの根拠にはなりえない。たった1レースだけで世代レベルを語るのはナンセンスであり、仮にそう判断するとしてもペースを考慮せずに走破タイムだけでレベルを判断するのは早計だろう。とりわけスローペースのレースで、タイムだけで差し馬のレベルを図るのは危険だ。

振り返れば、現3歳牡馬は皐月賞ではレースレコードをマークしている。どスローのダービーの印象が強く、このことを忘れてしまった方も多いようだが、今年の3歳牡馬は例年以上にクラシックで豊富な経験を積んでいたことは間違いない。

加えて、マスコミの報じ方にも問題があった。1つ上の現4歳世代はマカヒキ、サトノダイヤモンド、エアスピネルなど人気馬がいて、マスコミが報じやすい3強・4強の構図に持っていきやすかった。対して現3歳世代は混戦模様で、さらにファンディーナの皐月賞参戦で、余計に焦点がぼやけてしまった。マスコミの取り扱い方、そしてネットメディアの意見醸成に対しては冷静に見ていく必要がある。

■現3歳は強いのか?

低レベルと言われた3歳、特に牡馬だが、マイルCSでペルシアンナイトが勝利、福島記念ではウインブライト、アルゼンチン共和国杯はスワーヴリチャードが勝利、そして先週のジャパンCではレイデオロが2着と活躍が目立つ。

筆者は世代比較論が有用ではないと考えているので、これらの結果を受けてレベルが高いと言う気は毛頭ないが、マイルCSを3歳馬が勝つのは17年ぶりで3,4着にも3歳馬が入着しており、少なくとも平年よりレベルが低いということはないだろう。ちなみに11月時点でOPクラスでは3歳馬が10勝(うち重賞6勝)。これは2013年以降で最多となっている。

一方でこの世代には「条件戦で苦労している」というデータもある。ソースを示せればよかったのだが、10月ごろにTwitterで「1000万下、1600万下の勝率・連対率は近年の世代と比較すると低い」というデータを見かけた。このデータは非常に興味深い。

つまり、今年の3歳勢についての仮説はこうなる。
「トップレベルは平年より高いレベルで粒ぞろいだが、条件戦では苦戦している」

なので、今は「3歳世代は強い」という見解が醸成されつつあるが、これを鵜呑みにして条件戦で3歳馬を買うと痛い目に遭うかもしれないので気を付けてもらいたい。

■論より根拠

世代比較論に限った話ではないが、競馬を考えていく上で大切なのは根拠や理由だ。「今年の3歳牡馬は弱い」という見方を持っていた方にはこれが抜けていた。

仮に今年の世代が弱いという見解を持つならば、セットで「なぜこの世代は弱いのか?」という理由や根拠を考えないと、こうした手のひら返しが起こりやすい。少なくともセットで考えることで、あなたの競馬に対する知識や見解はもっと深くなるだろう。

「ノーザンファーム・牧場の育成方法が変わった?」
「種牡馬のラインナップが大きく変わった?」
「トレセンの施設が変わった?」

もしかしたら、このような理由・背景があるかもしれない。結果的に意味がない研究・考察になるかもしれないが、理由を考える習慣は大きな財産になる。

冷静に考えれば、「ダービーのタイムが遅い。だから今年の3歳はレベルが低い」という思考は論理として成立していない。今年はメディアがもたらした「牡馬は弱い」という印象からスタートしてしまった人が多かった。ただここで「その理由は?根拠は?」と考える習慣があれば留まることができたはず。印象論に騙されないためには、データを見つけ、根拠を見つけることが大切だ。今年の3歳馬たちはそんなことを私たちに教えてくれたのかもしれない。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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