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ハービンジャー産駒の進化論

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ハービンジャー産駒については2年前に「ハービンジャー産駒は一口馬主的にアリか、ナシか?」という記事を書いた。いま振り返っても、そこまで的外れなことは書いていない。

たとえば、マイルCSを制したペルシアンナイトは記事で紹介した王道配合となる「母父サンデーサイレンス」で、母のオリエントチャームは2000mのマーメイドSで3着。中距離重賞で実績があった。

また今年はハービンジャー産駒の牝馬が活躍。春にモズカッチャンがハービンジャー産駒の牝馬としては初めて重賞を制し、その後もディアドラの紫苑S・モズカッチャンのエリザベス女王杯と勝利を重ねている。この記事に書いた通り、牡牝の差はなく、得意舞台の中距離で結果を出した形だ。

さらに個人的にすごいと感じているのは、今秋の雨が多かった馬場でもハービンジャー産駒の好走が目立った点だ。ハービンジャー産駒はもともと洋芝が得意ではあったが、重馬場の巧拙に関してはあまり得意なほうではなく、「力のいる馬場は得意だが、滑る馬場はそこまで得意ではない」というようなデータが出ていた。しかし今年になってからはディアドラが重馬場の秋華賞を勝利するなど、さらなる進化を見せている。

今回は、前回の記事に補足が必要だと感じ筆をとったので、興味があればお読み頂きたい。

■配合の幅が広がった!

今回、筆者を最も驚かせたのはモズカッチャンのエリザベス女王杯制覇だ。

ハービンジャー産駒は原則的にSS系との相性が良い。たとえば獲得賞金上位20頭(11/27現在)を見ても、そのうち母父SS系が13頭、それ以外の7頭中5頭は母母方にSSの血を持っている。SS系牝馬の受け皿として期待され、見事にその役目を果たしていることがわかる。

ところが今回、ハービンジャー産駒で初めてG1を制したのがモズカッチャン。このモズカッチャンはまったくSSの血を含んでいない。これは配合論者としてはかなり衝撃を受けた。

これを例外としてしまうのは簡単だが、血統を見ると、実は他の獲得賞金上位との共通項が見えてきたので今回はそれを紹介してみたい。

■ポイントはNijinsky

ここでモズカッチャンの血統表を見てもらいたい
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014102565/

母父キングカメハメハだが、SSの血は内包していない。ではなぜ活躍できたのか?

今秋、大きく活躍したモズカッチャン・ペルシアンナイト・ディアドラには血統に共通項がある。それは以下の2つのポイントだ

・母系がNijinsky経由のNorthern Dancerクロス持ち
・Nureyev(Special)の血を内包

これは実は、現3歳世代が活躍する以前のハービンジャー産駒の獲得賞金上位には見られなかった配合パターンで、新しい配合パターンが発見されたと言える。

ただ注意も必要。上記のポイントを聞いて、血統に詳しい人であればピンと来る人もいるかもしれない。「それならキングカメハメハの血を内包していれば成功パターンの条件を満たすのでは?」と。

実はキングカメハメハの血だけで上記のポイントは満たされてしまうのである。仮にこの仮説が正しいとすれば、ハービンジャーとキングカメハメハは好相性ということになる。そこで次に調べたのは「父ハービンジャー+母父キングカメハメハ」の組み合わせ。結果は以下の通り。

◆父ハービンジャー+母父キングカメハメハ
頭数:9頭
勝ち上がり:3頭(勝ち上がり率.333)
平均獲得賞金:3,207万円
※集計対象 2012~2014年産3世代

残念ながらモズカッチャンだけが突出しており、成績としては並以下と言わざるをえない。ただ上記に書いた通り、ノーザンファームは元々SS系牝馬としての受け皿として導入した意図が強い。この9頭のうちノーザンファーム生産馬は2頭のみ(1頭勝ち上がり)。今回のモズカッチャンの活躍を受けて、ノーザンファームを中心とした社台グループが配合を変えてくれば、この配合はさらに成績をあげてくる可能性もある。

ちなみに上記の集計に含まれない現2歳ではブラストワンピース(シルク)が新馬勝ち。これでノーザンファーム産に限れば3頭中2頭が勝ち上がり、勝ち上がれなかった馬も2着1回・3着3回と惜しいところまでいっており、ポテンシャルは悪くない。

またディアドラの母父スペシャルウィークもNijinskyの血を内包しており、これは母母方の形にもよるものの、好配合パターンとして注目してよさそうだ。

よって、今回の記事では改訂版として以下の配合を今後のハービンジャー産駒の好配合パターンとした。

1:母系がSS系(母父SSは大歓迎)
2:母系がSS+ノーザンテーストの組み合わせ
3:母系にNijinsky経由のNorthern Dancerクロス+Nureyev(Special)
※追加

これに加え、冒頭で紹介した「ハービンジャー産駒は一口馬主的にアリか、ナシか?」の中にもある通り、母系が中距離向きで、母馬や兄弟馬に中距離重賞での実績があると尚可だろう。

■注目のハービンジャー産駒1歳馬

上記のポイントを踏まえ、来年以降デビュー予定の1歳馬で、筆者が注目した馬をピックアップした。

ただハービンジャー産駒の成長曲線を考えると、成長の加速度が上がるのが3歳の夏を越してからという馬が多いのでPOGよりは、一口馬主向きではないだろうか。そのあたりを踏まえてご参考にして頂ければ幸いだ。

アルコセニョーラの2016(母父ステイゴールド)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2016106146/
生産者:畠山牧場
馬主:ユニオンOC
厩舎:栗東・松下武士厩舎
メモ:ステイゴールド牝馬の仔は不振気味で、実際アルコセニョーラの仔はここまで未勝利。統計的には厳しいが、ハービンジャー+ゴールデンサッシュの組み合わせはベルーフで成功しており、検討の余地はある。Nijinsky経由のNorthern Dancer 6×6クロス。

アロマティコの2016(母父キングカメハメハ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2016104407/
生産者:ノーザンファーム
馬主:サンデーレーシング
厩舎:栗東・佐々木晶三厩舎
メモ:母は秋華賞・エリザベス女王杯で3着の中距離型。母母方でSSの血を補強。さらにノーザンテーストも入っており、上記の1~3の条件をすべて満たす。配合サンプルとして大注目。

サトノジュピターの2016(母父アグネスタキオン)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2016104758/
生産者:ノーザンファーム
馬主:シルクレーシング
厩舎:美浦・金成貴史厩舎
メモ:近親にアドマイヤラクティ。母母方のエリシオからSpecialの血を注入。長距離に向きそうだが、牡馬なので1勝目が上げられれば。Nijinsky経由のNorthern Dancer 5×6クロス。

サクセスファイター(母父スペシャルウィーク)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2016106180/
生産者:服部牧場
落札者:坂東牧場(2017セレクションセール)
厩舎:
メモ:母は1800~2000mで4勝の中距離型。全姉ハルカノテソーロは1勝。Nijinsky 5×4で、Northern Dancerが4本と多めだが、ハマれば爆発力が期待できるのでは。

ラスティングソングの2016(母父フジキセキ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2016104649/
生産者:ノーザンファーム
馬主:
厩舎:
メモ:全兄インヴィクタ。兄は気性が難しく、爪の問題で戦列を離れたが、無事なら菊花賞でも楽しみな存在だった。母母方にNureyevはディアドラ・ペルシアンナイトと共通。配合のレベルは高い。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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