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第11回引退馬フォーラム報告~「ホースシェルターって何?」

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第11回引退馬フォーラム
12月14日(金)、東京・新橋GateJで「第11回 引退馬フォーラム」が開催されました。その情報を共有します。今回のトピックは主に以下の3つです。

1:最新のJRAの動向
2:栗東にホースシェルターができます!
3:馬とヒトの新たな関係性

■JRAの引退馬に対する取り組み

今回はJRAの鈴木伸尋調教師がフォーラムに出席し、現在のJRAの取り組みについて解説されました。

現在、JRAではウェルフェア専門委員会という組織の立ち上げを目指しています。この組織では馬とヒトの福祉に関する対策を行なっていくものだそうです。

なぜヒトも含むのかといえば、美浦トレセンでは毎年、それなりの数の厩務員・スタッフが怪我をし、労災申請をしていると言います。その中で、怪我が原因で馬に乗ることが難しくなってしまう人がいると言います。

そうした人たちを支援するために馬とヒトの福祉を両方考えていく組織になったと言います。穿った見方をすれば、引退馬の支援のためだけに組織をつくるというのは難しいが、ヒトに対してもメリットがあればできるという部分もあるのかもしれません。

「馬とヒトを両方」というとわかりにくいですが、鈴木調教師は「トレセンにいる人材は高い馬乗り能力や飼育能力を持っている」と話します。だから怪我を理由に競馬界を去るのはもったいない。現役競走馬の世話は無理でも、引退した馬の世話はできるかもしれない。引退馬の界隈では、支援の輪は広がっているものの、まだまだそれを受け入れる牧場や人材は圧倒的に不足しています。

このように引退馬と馬の飼育のスペシャリストをマッチングできれば、今後、引退馬を支援する可能性は大いに広がっていくことでしょう。

その他、JRAでは、各調教師に対する引退馬を巡る状況の情報発信や、美浦近郊にある牧場との情報交換、大学馬術部との連携を行なっているそうです。

■2019年春 ホースシェルターOPEN!

そして、サンクスホースプロジェクトからも発表がありました。

2019年5月ごろに滋賀県・栗東市にホースシェルター「TCC Therapy Park」がオープンします。
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ところで「ホースシェルター」とは何か? あなたは知っていますか?

ホースシェルターとは【引退した馬を一時的に受け入れる施設】です。

いま引退馬を巡るひとつの問題に「セカンドキャリアを決めるまでの時間的な余裕がない」ことがあげられます。

たとえば、あなたが好きな馬の引退が決まった。でも自分ひとりでは到底引き受けることはできない。「でもファンが多い馬だから、みんなで協力すれば…」というケースもあるでしょう。また怪我のせいで引退してしまったという馬も、その瞬間にセカンドキャリアを決めようとすると、どうしても用途が限られてしまいます。

そうした可能性を広げるための一時受け入れを行なうのがホースシェルターです。

競走馬はたとえ引退してもエサ代などの費用がかかります。こうした経済面の負担から早く次のオーナーに渡したいという馬主の方もいるでしょう。そういう観点から引退後すぐにサラブレッドオークションで売却されたり、不幸にもそうした道にさえ進めない馬もいます。

しかし、一時的にホースシェルターで受け入れることで、その可能性を広げることができます。それこそ怪我を治療したり、競走馬としてはダメでもホースセラピーに向いているような心優しい仔もいます。ホースシェルターはそんな彼らをまずは癒し、彼らに向いた適職を見つけるための場所でもあります。

「TCC Therapy Park」はすでに地元の栗東市と連携し、小学生を対象としたホースセラピーなども行なっており、今後もその活動を拡大させていきます。TCC FANSは「引退競走馬が活躍するまちづくり」を目指しています。ホースシェルターはその大きな第一歩であり、象徴となるはずです。

現在、このホースシェルターを支援するクラウドファンディングが行なわれています。
https://campaign.tcc-japan.com/participate

このホースシェルターに、皆さんから寄せられた「馬とヒトの写真」でモザイクアートを作成します。そのモザイクアートにあなたの写真、あなたが大好きな馬たちを載せることができます。

それ以外にも、いろいろお返しがありますので、まずはサイトをご覧ください。

■馬とヒトの新しい関係性

今回の「引退馬フォーラム」では、ある発表がありました。正式発表は来年1月とのことで、詳細は書けないのですが、簡単に書くと「馬に乗らない講座」が始まります。

なんのこっちゃと思われるでしょうが、サンクスホースプロジェクトでは上に記したセラピーホースなどの他に、災害救助馬の育成も行なっています。今年は西日本豪雨などの災害がありました。こうした現場では車両や重機が入れず、物資の移動などにも苦労しました。そこで今、活躍を期待されているのが災害救助馬です。

車が進めないような山崩れの現場でも馬なら歩けることがあります。そうした馬に水などの重いものを乗せて運んだり、ヒトを乗せて移動できるのではないか? という期待が高まっています。

すでに岡山県・吉備高原では災害救助馬の育成が始まっています。ただ、災害救助馬として活躍するには、たとえば【水たまりを怖がらない】【ビニール袋が飛んできても驚かない】などの不測の事態に慣れるための訓練が必要になります。

話を「馬に乗らない講座」に戻しますが、今回の講座ではこうした馬を訓練するためのノウハウや、馬とのコミュニケーション&信頼関係の構築技術が学べるそうです。

個人的には、この方向性は非常に大切なことだと感じました。

TCC FANSでは、里親になっている引退馬たちに乗ることができます。しかし、会員の中には乗馬ができない会員もいます。そして、まだ会員になっていない方の中には「里親になりたいけど、馬に乗れないんだよな…」という方もいるかもしれません。

引退馬を支援する・世話する裾野を広げるために乗馬人口を増やすというアプローチには限界があります。しかし、馬には乗れないけど、馬たちと関わっていきたいという方は多くいます。実際、今年の秋、TCC FANSでは「牧場での仕事を通じて、馬との関わり方を知ってもらうBOKUMEN・BOKUJOイベント」を開催しましたが、すぐに定員となるほど好評でした。

今回の講座を通じて、馬と正しく接して、世話ができる人が増えれば、それだけ引退馬の引受先が多くなっていくはずです。

引退馬の問題には、お金や情報管理など多くの問題がありますが、やはり馬を世話できる人たちをどう増やしていくかという課題は大きいのです。そして馬だけでなく、馬を世話するヒトも一緒に幸せになれないといけません。そのためのヒントが今回の新しい動きには含まれています。こちらについては、今後もツイッターなどで情報をお伝えする予定です。

少しずつながらですが、引退馬を巡る環境はJRAをも巻き込んで変わりつつあります。きっと私たちがそこに目を背け続けていたら、この変化は起こらなかったでしょう。ですから、まず第一歩は引退馬について興味を持つところで十分です。今後も「引退馬フォーラム」は定期的に開催されると思いますので、ぜひお時間があえばご参加ください。

(文=桜木悟史) @satoshi_style

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