※こちらの記事はサイトリニューアル(2022年7月)以前に執筆した記事のリライトになります。デジャブを感じたら読む必要はありません
馬体派を諦めた理由
この記事では「一口馬主における馬の選び方」について私見を述べていこうと思います。
一口馬主は趣味ですから、皆さんの好きなように馬を選ぶのが一番ですし、それぞれの楽しみ方を追求してよいのですが、世間的には馬体派のほうが人気があると思います。
しかし、今回は血統派の魅力を伝えてみようと思います。
何を隠そう、私も一口馬主を始めた当初は馬体写真を見て、DVDを何度もみて「これだ!」という馬を探していました。
だって、カッコいいじゃないですか! 「この馬は繋の反発力がよくて、トモの踏み込みもいい…」なんて言えたらカッコいいじゃないですか!
競馬場に彼女を連れていってパドックで解説して、その馬が見事1着。ガールフレンドに「きゃ~、素敵~♡」なんて言われる、そんなことを夢見ていた時代もありました(あ、そもそも彼女いなかったわ)
ですが、思うように結果が出ず、一口馬主をやめようと思うところまでいっていました。
これには原因があって、第一に自分にそのセンスがなかったこと。
次に圧倒的に勉強する時間が少なかった。これが大きかったと思うのです。
私が思うに、本当に馬体に詳しくなるなら毎週末、中央競馬中継のパドックにかじりついてパドックを見るぐらいしなければ成長できない。
しかもその教材もデビュー済みの馬体だから、募集馬選びには直結するとは限らない。
究極をいえば、毎年、セールに足を運ぶぐらいしないと本当の意味での相馬眼を身につかないと考えました。
でも、一介のサラリーマンにそんなことはできません。ですから、私は血統派への転身を決意したのです。
血統派 3つのメリット
次に血統派のメリットを紹介します。
大きくわけると3つあります。
①好きな時間に勉強ができる
②評価を数値化しやすい
③反省点が明確なので成長しやすい
まず①についてですが、前述の通り、馬体派を目指すのであれば毎週の競馬をチェックしたり、それなりの勉強量が求められます。パドックを録画して見直す、という方法も考えられますが、終わった競馬のパドックを見て勉強するのは、かなり高いモチベーションを求められます。
一方で血統は同じく復習するにしても、1年間、気が向いた時にいつでも勉強ができるというメリットがあります。
私たちのような凡人が、馬を見れる天才たちと戦うためには勉強時間で凌駕するしかありません。
そして、そのためには自分の好きな時間に勉強ができる血統派のほうがおすすめできます。
次に②ですが、私の分析記事を読まれている方ならお分かりでしょうが、たとえば「父A+母父Bの組み合わせ」を調べるだけでも【勝ち上がり率】【賞金獲得の天井】【平均賞金額】【性差傾向】など、数字を伴う情報をはじき出すことができます。
一方で、馬体の場合は体重・体高・管囲などの情報、そして馬体の縦横比・繋の沈み込む角度などで馬体を数値化していくことになります。
しかし、これらの情報から獲得賞金の期待値などを出そうしても、現実的にはクラブで募集されている馬しか集計できないので、あまり有意な統計になりにくい。
ここが血統との大きな違いです。
この先、AIなどが発達して、馬体写真などから各種数値をはじき出して将来の獲得賞金の期待値などが出てくる未来はありえるでしょうが、それをヒトの力で実現するのはなかなかに困難で、多大な努力が求められます。
最後に③ですが、何事においてもアップデートが欠かせないということです。
たとえば、私が一口馬主を始めた頃に募集馬にどんな評価をつけていたかメモが手元に残っているのですが、そこに書かれている「踏み込みがいい」とか「可動域が広い」などの情報をもとに、当時の写真や動画を見て、何かを反省できるかというと、ほとんど具体的な反省ができないのです。
中には仕事に追われて忙しく、集中力を欠いて動画を見ていた年もあったでしょう。
しかし、血統であれば、そこにいたるまでの思考プロセスが明瞭に記録できますから、自分が考えていたことを論破するようなデータや競走馬が誕生していれば、その仮説を見直し、アップデートすればいいだけです。
自分の考えを覆される自己否定のつらさはありますが、着実に成長していることを感じられる。これが血統派の醍醐味でもあります。
血統はざっくりでいい!?
最後に「血統の勉強って、意外とざっくりで大丈夫だぜ」という話でこの記事を締めようと思います。
※簡単といっても、上のように年中勉強する好奇心や、募集時に1,000頭近い同配合馬や近親の血統表をチェックする労力は必要。
血統分析にも、いろいろなアプローチがあるのですが、私は
◆血の組み合わせを重視する(配合理論)
◆原則、5代血統表だけでジャッジする
という2点を意識しています。
血統は奥深いものですが、私たちは学者ではありませんから勉学のコスパを意識しなければいけません。
8代目まで遡って「○○○という名牝の血が~」とかそういうマニアックなアプローチは極力避けるべきです。「父+母父」の相性だけで話が片付くなら、それに越したことはありません。
結局、このあたりは見栄の問題です。
馬体にしても、血統にしても「深いことを言って、周りからカッコよく思われたい」という自己顕示欲をどう殺すか? ここが大きいと感じています。
私の血統・配合の話は、他の有識者よりも薄味に仕上がっています。
それもそのはず、だって私は配合を考える上で「日本の馬場で走る上で影響度が大きい血を20個程度しか意識していない」のですから。
つまり、この20個前後の血の組み合わせを覚えるだけ。
だから私の記事では、同じような評価が繰り返されます。だから、読んでいてつまらない。でもそれは効率的であることの裏返しなのです。
ちなみに20個程度で済むのは、クラブをノーザン系に絞った場合です。日高系には応用しづらいので、そこは要注意です。
血統はどうやって勉強する?
前段で締めようと思いましたが、この記事を読んで血統の勉強に興味を持った方にどうやって勉強するかということを記して終わりたいと思います。
■用意するもの
・netkeiba.com(無料で十分)
・望田潤「血は水よりも濃し」(会報誌コラム)
・「パーフェクト種牡馬辞典」
この3つがあれば十分。
実際、私はここ7年ぐらいは一口馬主の検討に使っているのはこの3つだけです(特に上の2つ)。
netkeibaの使い方としては、
①父と母父の組み合わせ実績
②種牡馬の獲得賞金ベスト20位の配合パターンのチェック
③父と母系に入っている主要な血の組み合わせ実績
④近親の実績とレース内容のチェック
を重点的にみます。
そこに、望田氏のコラムから得られる「クロスが与える馬体や適性への影響」のエッセンスを加味します。望田氏のコラムはキャロット血統に特化していますし、キャロット会員であれば、これだけで十分戦えます。
あとは「パーフェクト種牡馬辞典」で、種牡馬の得意条件・不得意条件などを確認する。ここまでやれたら、まさにパーフェクト。
こうすると、分析対象の【獲得賞金の期待値】【配合の長所・短所】【適性】が見えてきますので、募集金額と期待値を頭に入れながら、配合の長所と適性に矛盾がないか考えるだけです。
ここまでつらつらと書いてみましたが、参考になった情報はあったでしょうか?
無理に血統派へ転身することは勧めはしないものの、馬選びに自信がなくなってきている人はぜひ一度、上記の方法を試してもらえたらと思います。
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