マインドユアビスケッツ産駒の特徴&配合分析 [2023年1月]

競馬コラム

初年度産駒のデルマソトガケが全日本2歳優駿を制覇。また牝馬のマルカラピッドがエーデルワイス賞を勝利するなど、おそらく生産地ではかなり注目度が高まっているマインドユアビスケッツについて考察していく。

マインドユアビスケッツ産駒の成績

現状、マインドユアビスケッツ産駒の成績はダートのマイル以下に集中している。父自身がダ1200mのドバイゴールドシャヒーンを連覇したあたり、その血を色濃く受け継いでいる。

ただしドバイのダートをこなしたということで、純然たるダート血統という感じでもなく、デイリー杯2歳S3着のショーモンなど芝のオープンクラスでそこそこやれる産駒もいる。

そういえばちょうど1年前に社台スタリオンステーションを訪問した際に、三輪圭祐さんからマインドユアビスケッツに関してこんな説明を受けたことを思い出した。

「一見、芝でもやれそうな血統ですけど、ダートだと思います。Silver Deputyを介するとダートに寄るんですよね」

血統表を見ると、Deputy MinisterRahyなど、芝でもやれそうな血があるのだが、Silver Deputyの影響のほうが大きい。なので、母系が芝の牝系でもダートで勝てる。さすが三輪さんです。

なので、生産や馬選びにおいてはダートを想定しておくのが無難だろう

なお、距離適性については現状はマイル以下での勝ち星が目立つが、これはダート1800m以上のレースがそこまで多くないためとみる。本質は短いところがいいだろうが、後述する理由により、将来的にダート2100mで勝つようなマインドユアビスケッツ産駒が出てくるだろうというのが筆者の見解。

マインドユアビスケッツ産駒の配合分析

まず1月終了時点の獲得賞金上位10頭のうち、9頭が母方にサンデーサイレンスを持つ。ダート系種牡馬にしてはかなり珍しいタイプの傾向である。

父が持つRahyとのHaloクロスで日本競馬向きのスピードを担保しているという解釈が現時点の見方。見た目、芝っぽい配合にしてもSilver Deputyの効果でダート馬になる。これがマインドユアビスケッツの最大の特徴といえる。

さて、配合的な話に目を向けると、現状、良い相性を示しているのがLyphardの血。

マインドユアビスケッツがBlushing Groomのクロスを持っており、Lypahrdを持つ牝馬とは相性がいい。ショーモン(母父ディープインパクト)やミラーオブマインド(ホワイトマズル持ち)がこのパターン。

次にノーザンテーストDeputy Minister持ちもしっかりと配合の根拠があって成績を出している。

マインドユアビスケッツがDeputy Ministerのクロスを内包しており、母系にニアリーなノーザンテーストを持ってくることでE配合が完成。スピードの持続力を高める効果があり、力のいるダートでもしぶとく粘れるタイプを輩出している。

上記の2点、【Red God系と相性がよくて】【ノーザンテーストを持っている】といえばダイワメジャーをすぐに思いつく。

この直感が示す通り、現在勝ち上がっている33頭のうち5頭が母父ダイワメジャー。「マインドユアビスケッツ+母父ダイワメジャー」は鉄板配合と呼んでいいはずだ。

あと、それ以外のマニアックなところで目につくのはダンシングキイキーフライヤーの繁殖の血を含む馬がよく勝ち上がっている。筆者の配合理論ではその理由を解説できないが、頭の片隅に入れておきたい(種牡馬だとダンスインザダークやスズカマンボが内包)。

種牡馬マインドユアビスケッツの評価

マインドユアビスケッツ自身がかなりクロスを持っているタイプで、なかなか配合しにくい印象を与える血統表だが、蓋を開けてみると、どの部分を伸ばしても良さが出るタイプで初年度から重賞勝ち馬をどんどん出していることにも納得。

◎サンデーサイレンスを足せばHaloのクロスでスピード強化

◎ノーザンテーストやDeputy Minister・Vice Regentで持続力強化

さらに、仮説段階だがトニービンなどのグレイソブリン系の血でもクロスが継続され、そういう配合でも結果を出しそうで、インブリード歓迎の便利な種牡馬といえる。

そしてノーザンテーストなどで持続力を強化すれば距離の壁もないはずで、冒頭に話した東京ダート2100mでも対応可能(ノーザンテーストのクロス持ちのルーラーシップ産駒が好走するイメージ)。

しいて弱点をあげるなら瞬発力系の血が乏しいので抜群に切れるというタイプはなかなか出てこないだろうが、なんでもかんでもダート色を強くしてしまう傾向を考えれば、そこまで致命的な弱点とはならない。

配合次第で距離不問のオールラウンダー・ダート種牡馬として、マインドユアビスケッツの天下が始まるかもしれない。

(文=桜木悟史)

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