種牡馬プロフィール
ブリックスアンドモルタルはアメリカで活躍した競走馬で、芝の中距離で活躍したストームキャット系の種牡馬です。
デビューから4連勝するも、3歳時に跛行が深刻化し手術、1年2ヵ月の休養。故障から復帰後は引退まで7連勝を果たす。
■G1勝ち鞍
G1 ペガサスワールドカップターフ(芝8.5F)
G1 ターフクラシックステークス(芝9F)
G1 マンハッタンステークス(芝10F)
G1 アーリントンミリオンステークス(芝10F)
G1 ブリーダーズカップ・ターフ(芝12F)
2019年から社台スタリオンステーション(以後、社台SS)に繋養されている。初年度の種付け頭数は178頭。
ブリックスアンドモルタル産駒の評判は?
ブリックスアンドモルタルについて検索すると、「小さい」という言葉もサジェストされる。
昨年のセレクトセール1歳馬では、6頭のブリックスアンドモルタル産駒が5頭上場され、馬体重は413~450kg。特段、小さいとは言えない。
しかしクラブ馬に関しては、この指摘はあながち間違いと言えない。
社台サラブレッドクラブ募集馬は390kg台が1頭、410kg台が1頭いた。さらに9月募集のキャロットクラブでは5頭中2頭が400kg未満で募集されたこともあり、「小さい」と評されても不思議ではない測尺になっている。
セールのほうに良い馬を回して、クラブには余りものを回すパターンもあるだけに、この見解を産駒全般に当てはめるべきではないだろうが、留意しておくべきだろう。
なお、直近3年の種付け頭数は、178頭(2020)→180頭(2021)→127頭(2022)と推移している。
ブリックスアンドモルタル考察
ブリックスアンドモルタルの血統的な特徴はStorm Birdの3×3クロスだろう。
このクロスによって気性的にきつく出やすい可能性は否定できない。こうした事情からブリックスアンドモルタル産駒は無駄なエネルギーのロスが発生しやすく、前述の身体が小さくでやすいという仮説も立てられる。
もっとも、募集時に小さかった馬でも着実に馬体重が成長している馬はいるし、くわえて父自身が5歳時に初めてG1を制した「アメリカ産馬にしては完成が遅かった」背景を踏まえると、このクロスだけが原因とはいえないだろう。
ブリックスアンドモルタル産駒の配合を考える場合、どこの路線を目指すのかにもよるが、おそらく父と同じような芝の中距離タイプはあまり多くならなさそうだ。
ブリックスアンドモルタルと同じGiant’s Causewayの系譜からはエイシンアポロン[マイルCS]やスズカコーズウェイ[京王杯SC]が出ており、ストームキャットらしく距離が短めに出やすい。
なので、ブリックスアンドモルタル産駒はマイル前後で期待したい。
その路線を目指す場合、ブリックスアンドモルタルの中で日本の馬場適性が高いRahyを刺激することがポイント。その場合、サンデーサイレンスを持つ牝馬と交配してHaloクロスをつくることが手堅い配合と言えそうだ。
逆に気性的なリスクを回避するために、Storm Catや、それにニアリーな血を持つ牝馬と交配すると、気性的なきつさを継続するリスクが高まるため気を付けたい。
桜木悟史の妄想トーク
下記に記すのは筆者の妄想となるので、ほどほどに読んでいただければと思うが、そもそも社台SSがブリックスアンドモルタルを導入した理由について推測してみよう。
社台SSは、2017年にドレフォン、2019年にブリックスアンドモルタルと立て続けにストームキャット系の種牡馬を導入した。
この前後で注目を浴びていたのは「ディープインパクト+母父Storm Cat」のニックス配合である。なので、中長期的な戦略で「ディープインパクト系種牡馬+ストームキャット系繁殖牝馬」を交配できるための下地を整えようとしていた可能性がある。
以前、社台SSを訪問した際、事務局の三輪圭祐さんはドレフォンについて「濃い血を薄くするためのオニオンスライス的に使える種牡馬」と評していた。つまりサンデーサイレンスなどをクロスさせる場合に、母父の部分にドレフォンを挟むことで配合がしやすくなるという狙いだ。
もしブリックスアンドモルタルにも同様の役割が期待されているとすれば、中長期的にはブリックスアンドモルタル産駒の牝馬の仔は面白い存在になるかもしれない。
「エピファネイアなどのSSを内包する種牡馬+ブリックスアンドモルタルのRahy+母母方のSS」というHaloのE配合は日本のマイル~中距離でポテンシャルを発揮しそうだ。
(文=桜木悟史)
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