各一口馬主クラブの募集も始まったこのタイミングで来年2024年に初年度産駒がデビューするサートゥルナーリア・アドマイヤマーズ・ルヴァンスレーヴの産駒傾向や血統・配合について解説します
サートゥルナーリア
サートゥルナーリアに関しては、ここ2年ほどで社台SS事務局の三輪さんのトーンが高く、個人的にも注目している種牡馬。
同時にエピファネイアの話も聞きますが、エピファネイアの売りがスタミナにあるとすれば、サートゥルナーリアの武器は瞬発力だと言います。
体勢を変えたりする際の俊敏な動きはやはり他の馬にはないものがあるそうで、こうした部分が産駒に伝わることを期待されている様子でした。
その点を血統的に解説するなら、ポイントになりそうなのは他の兄たちが持っていないStorm Catの部分です。
改めて競走成績を見ても、人気を集めた天皇賞(秋)で出遅れから暴走気味に2,3番手を追走してしまったことや、ダービーでも戦う前の消耗が大きく力を出し切れなかったりと、このあたりは課題だったと言えます。
ですから、配合的には母方にStorm Catや、同じくノーザンダンサー系で気性的にうるさくなりがちなDanzigあたりの血は避けたい予感も…。
今回の記事を執筆するにあたり、サートゥルナーリアの配合を考えてみたのですが、意外と難しい印象があります。それは血統が悪いというよりは、むしろサートゥルナーリアの配合の完成度が高く、あまり他の血が入る余地が薄いため。
そうなると、あまり血が重複しない異系の血とのカップリングにするか、邪魔しない血を母父に持ってくる配合が候補になってきます。
こういう時に便利なのは母父シンボリクリスエスで、この血が入れば父母・母父部分でエピファネイアの組み合わせが完成。これはハズレが少ないはず。
あとはサートゥルナーリア自身が持っているクロスをどのように継続してE配合をつくっていくかが大きなカギとなりそうです。
たとえば、Nureyev・Sadler’s WellsのSpecialクロスを持っているので、母系にこの2つの血やファルヴラブを組み合わせると爆発力が生み出されそうです。
サートゥルナーリア産駒はクラシックも狙えるでしょうが、本領発揮するのはマイル路線だと考えており、ファルブラヴ持ちは重賞級が出てきそう。
逆に気を付けたいのは、見えにくい部分ではあるもののNijinskyのクロスを持っているので、ここはあまりクロスを継続したくないところ。Nijinskyや、Far North・The Minstrelあたりの有無は気にしておきたいポイントで、数年後に検証したいところです。
▼桜木の注目ポイント
○:母父シンボリクリスエスは無難に良いはず
○:ファルブラヴが入る配合はマイル路線で期待
△:Storm CatやDanzig持ちは気性面にやや不安
アドマイヤマーズ
アドマイヤマーズについては社台SS繋養当初に三輪さんとお話しする機会があり、そこで聞いた話としては「もう少し母系にスピードを足していってもよい」という見解。
もう少し詳しくお話を伺うとアドマイヤマーズは皐月賞でも4着に来たように決してマイルが限界の馬ではなかったというのが三輪さんの見立て。なので産駒からは中距離タイプが出てくるだろうとのこと。
配合的な見地からも、アドマイヤマーズ自身がHaloの3重クロスを持つので、そのクロスを継続してスピードを強調するのは、ベタながらも確率の高い配合。
その他にもミスプロ系のスピード血統であるフォーティナイナー・Unbridled’s Songあたりはアベレージがよく、堅実に勝ち上がれるタイプとなりそう。ノーザンダンサー系ならDanzigも悪くなさそうです。
あと社台やサンデーのアドマイヤマーズ初年度産駒はトモのあたりにダイワメジャー・ノーザンテーストの特徴を強めに残しているタイプが多く、キレキレの馬が出てくるというよりは先行して強さを見せるタイプが多そう。
その際に重要になるのはコーナリング性能で、そこにおいてはNureyevの血があると加点評価材料。
Nureyevを持っていれば、Sadler’s Wells・Nureyevの3/4同血クロスが完成、淡白な先行馬になりにくくなります。
あとはダイワメジャーの特性を濃く受け継いでいるとするならば、相性がそこまでよくない血も似る可能性あり。Storm Catやクロフネあたりは様子見したい組み合わせです。
▼桜木の注目ポイント
○:ベタにHaloクロスを継続する配合は評価したい(母系にもHaloが入る配合)
○:Nureyev持ちの繁殖との組み合わせは小回りコースなどで期待度アップ
△:Storm Catやクロフネ持ちは個人的には様子見
ルヴァンスレーヴ
今回の解説記事を書くにあたって一番頭を悩ませたのがルヴァンスレーヴです。
大前提として「ルヴァンスレーヴ産駒でどの路線を目指すのか?」という話を考えることからスタートします。「いや、ダート路線に決まっているでしょ」と答えは明白なのですが、配合の話となるとそう一筋縄ではいかなさそう、というのが筆者の直感。
ルヴァンスレーヴの近親であるチュウワウィザードを意識するならキングカメハメハ繁殖牝馬との配合はベタですが、能力値は高そうです。ただ問題は、おそらくキングカメハメハ産駒の繁殖牝馬とくればほぼ高い確率でサンデーサイレンスの血を持っているであろう点です。
そうなるとSSのクロスが発生。このクロスはダート路線を目指す上であまりプラスには働きません。
少し話を脱線すると、今年の40口募集では「父ルヴァンスレーヴ+母父ゴールドリュール」というG1レーシング・追分ファームのタッグ配合が3頭募集されていますが、本当に狙い通りにダート向きになるのか? 興味深いサンプルとなりそうです。
ルヴァンスレーヴから強いダート馬を生産すると考えた場合、血統のどこを強調するのかを考えた場合、筆者ならSeattle Slewを刺激したいと考えます。
そういう意味でいえば、A. P. Indyあたりを持っている繁殖との配合から、4コーナーの競馬で先行して強さを見せるようなダート馬を誕生しそうです。ダートに寄せるならミスプロのクロスはある程度、濃く・多くなってもOK。
どういう馬を欲するかにもよりますが、SSクロスよりも、Seattle Slew・ミスプロ・Buckpasserなどのクロスを重ねていった配合でダートの大物を狙いたいと筆者は考えます。
▼桜木の注目ポイント
○:SSを持たないキングカメハメハ・Kingmanbo系繁殖は期待できる
○:A. P. Indy系の牝馬からダート界の大物誕生を期待したい
△:ダートを目指すならばSSクロスは歓迎材料とはならない
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