先週末にシルクの募集も終わり、その様子を外から眺めていましたが、このあたりで「レイデオロって種牡馬としてどうなの?」「どんな特徴があるの?」という話を元出資者の目線でつづってみようと思います。
素人の見解ですので、「あ、そんな感じかもねー」ぐらいのゆるいスタンスでお読み頂けたら幸いです。
種牡馬としての色が薄い
いきなり怒られそうな話をしてしまいますが、レイデオロは種牡馬として自分のカラーを押し出すタイプではありません。
これはレイデオロに限らず、キングカメハメハ系統全般に言える話。ロードカナロアが短距離型から中距離型まで輩出するように、繁殖側の特色を引き出すタイプの種牡馬だと考えます。
この点については社台スタリオンステーションの徳武氏も言及していたそうで、かつ自分自身も今年の社台・サンデーで募集されたレイデオロ産駒を見ましたが、まあ共通する特徴が全然ないですね(笑)
むしろ馬体を見ていると、「これは母父ハーツらしい」「ライツェントっぽいなー」という風に母系のほうの特徴が目立つことが多い気がします。
若い時の馬体は参考にならない
各クラブの募集期間にレイデオロの名前で検索していましたが、そのあたりの評判や感想にも沿いながら、レイデオロの馬体の話をしていこうと思います。
●身体が薄い?
「薄い」という言葉がどの部分を指しているかにもよりますが、レイデオロ産駒は筋肉隆々というタイプは少ないかと思います。
そもそもレイデオロ自身が、募集当時はマッチョというタイプではありませんでした。むしろ弟のレイエンダのほうがトモのボリュームがあったかと思います。
レイデオロはダービーを勝った後でも細さを感じさせるほどでしたし、若い頃にむしろ細さを感じさせる方がレイデオロっぽい気がします。
●セールスポイントはバランスの良さ
では、レイデオロ産駒はどこを見ればいいのか?
個人的に注目すべきは全体のフレーム、骨格だと思います。シンボリクリスエスの影響で、背中がしっかりとしたフレームを持った馬が高評価できるタイプで、その部分のチェックが必要。真横から見た時に、少し横長のきれいな長方形になっているかを確認します。
これは好みもあるでしょうが、背たれが強めで上辺が歪んているようなシルエットや、胴が詰まり気味でマイラーっぽい体型をしているタイプはちょっとレイデオロっぽくないと感じます。
レイデオロは怪我の多い一族出身ながら引退まで怪我をしなかった要因に、馬体のバランスが良かったために変なところに負担がかかりにくかった、という見方をしています。
最大のセールスポイントは…
ここまでのポイントを押さえると「産駒の特徴がない」「若い時は筋肉量が少ない」ということで、長所と言えそうな部分が少ないように感じます。
これはある意味で正しいと言えます。しかし、これは「見た目でわかる長所が少ない」と言い換えるほうが正しい。
レイデオロの最大のセールスポイントは【高い心肺能力】だと私は考えています。
ダービーのロングスパートにしても、歴代2位のタイムで高速決着となった天皇賞(秋)にしても、長い距離を追い続けても高いスピードを維持できるのがレイデオロの強み。
誤解がないようにいっておくと、スタミナが無尽蔵にあって長距離に向くとは同義ではありません。
レイデオロは基本的に瞬発力は高くない一方で、ウインドインハーヘア由来のスタミナを有しており、軽い芝で高いレベルでスピードを維持することに向いています。
どんな配合が良いか?
最後に配合に関する話をしようと思います。
まずシンプルな強みとして、SS系牝馬と交配し放題という点は魅力と言えます。レイデオロが持つSir Ivorと、繁殖側のHaloがニアリークロスになるのでスピードが強調されます。
次にディープインパクト牝馬との交配。これによりウインドインハーヘアのクロスが完成します。では、ウインドインハーヘアをクロスさせるとどうなるのか? スタミナが強調されます。
ですから、個人的にはディープインパクト牝馬との交配の場合は、母母方にスピードのある血があって、できれば母自身がマイル前後に実績がある形。マイル向けの組み合わせにスタミナが足されて、ちょうどクラシックディスタンス向きに仕上がるイメージです。
サンデーサイレンス・ディープインパクトとの組み合わせは計算がしやすいはずです。
レイデオロ自身が他と相性が悪い血をほとんど持たないので、配合に関しては、どんな形でもある程度いけそうなのはレイデオロのセールスポイントのひとつと言えるかと思います。
最後に
元出資者とはいえ、太鼓持ちにならないように、自分なりに冷静に綴ってみましたが、参考になる話などはあったでしょうか? 少しでも参考になる部分があったなら幸いです。
出資馬が種牡馬になれば、人気種牡馬になって欲しいという方もいるでしょう。自分個人としては、実はそうでもなくて「社台スタリオンに残れるぐらいに、ほどほどに結果を残して、健康に過ごしてくれたら」という想いのほうが強いかもしれません。
今回の各クラブ募集時期にレイデオロ産駒があまり話題になっていないことが気になりました。
ただそれは、レイデオロ自身も募集時期にはそこまで評判になっていなかったという事実とも重なる、という点は皆さんにお伝えしておきたかったので、今回の記事を書いてみた次第です。
「レイデオロ、×2抽選だったじゃん」
というご指摘もありそうですが、当時のことをちゃんと知っている人間からすると、レイデオロは中間発表でもなかなか名前が挙がってきませんでした。少なくともツアーなどで抜群に良く見せていたタイプではなかったのです。
しかし、その当時は現在のような口数制限がなく、最終日付近で突然の大口投票があり、×2抽選まで行ったという経緯がある馬です。
実際、自分の所感としても歩かせると、頼りない部分を見せることがあったことを今でも思い出します。
それでも、その当時から見せていたバランスの良さと、代謝のよさそうな皮膚感に惹かれて出資を決めたわけですが、何が言いたいかというと「レイデオロの良さは外見だけじゃわかりにくい」ということです(特に若い頃は)。
もうひとつだけ、レイデオロはかなり真面目な性格だったという点は最後に付け加えておきます。
5歳時に勝ち星を重ねることはできませんでしたが、彼は最後までしっかり前を向いて走っていました。レースを諦めるということはほぼありませんでした。この真面目な性格は競走馬にとって重要です。
この真面目な性格が産駒たちにも受け継がれて、その頑張りが皆さんにも伝わるようなら、元出資者としてこれ以上の喜びはありません。
ぜひ多くの方にレイデオロ産駒をご検討頂けたら幸いです。
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