スワーヴリチャード産駒の特徴&配合分析 [2024年1月]

競馬コラム

初年度からホープフルS勝ち馬・レガレイラやクラシックの有望株・アーバンシック[京成杯2着]らを輩出したスワーヴリチャード産駒

今年のPOGや一口馬主の馬選びにおいて、さらに注目度を増していく存在になる、この種牡馬について分析していく。

スワーヴリチャード産駒の適性

まずスワーヴリチャードは上記2頭の印象が強いものの、勝ち上がり馬の傾向を見ていると、むしろマイル前後で活躍している馬が多い

血統的な見地からいうと、おそらくスワーヴリチャードが持つUnbridled’s Songの影響度が強いとみており、スピード優位な産駒が多いと想像されます。

この影響は距離適性だけでなく、馬体の完成度の高さにも影響。2歳リーディングで3位に食い込んだあたりはスワーヴリチャード産駒の早熟性によるもの。

芝ダート適性については初年度の2歳は芝21勝:ダ4勝と芝が優勢。

ハーツクライ系では、まれにダートで大成するパターンはあるものの、その場合はトニービンなどの重厚さが重いダートにハマっての中距離以上で走るパターンが多く、スワーヴリチャードのようなスピード優位だと、他のダート系スピード種牡馬の中で相対的に厳しい可能性のほうが先行しそう。

基本的には芝向きと思って、馬選びをしたほうがよいだろうというのが現段階の見解。

スワーヴリチャード産駒の配合分析

配合分析をする上で、スワーヴリチャード産駒は大きく分けて2種類のパターンに分類される。

①コラソンビートなどのマイル向きのスピードタイプ

②レガレイラやアーバンシックのような中距離タイプ

前提として①のタイプのほうが主流で、②のような中距離タイプのほうが配合に工夫が必要なタイプ。

①については、Unbridled’s Songのスピードがあれば、早い時期のマイルであれば十分に通用するので配合に関して、そこまで特徴的なポイントはありません。

ただし、母系に北米系の血、とりわけスピードタイプの血が濃く入る配合パターンは現状、活躍馬があまり多くなく、戦績を見ると、馬体の完成度が早くなりすぎるのか、やや早枯れのような傾向が見えていそうなので注意が必要です

社台スタリオンにて [2023年10月撮影]

中距離タイプを目指す②の配合は、スタミナを与える因子をどう強調するかにかかってきます。

具体的には、レガレイラアーバンシックの母系にあるウインドインハーヘアはスタミナ因子。これをハーツクライのLyphardで刺激してあげることで、スタミナを増幅しています。

配合をする上で、このLypahardというのがカギになるパターンが多く、Lyphardと相性のよいハービンジャーデインヒルなどDanzig系統の血が入る配合は確度が高そうです(この配合パターンに合致するのが阪神JF7着のスウィープフィート)。

またSSのクロスも有効。Unbridled’s Songでスピードを出して、SSのクロスで瞬発力をアップさせることで最後の直線でギアを上げるイメージ。芝の大きなところを狙うならこのクロスも押さえておきたいポイント。

※レガレイラ・コラソンビート・アーバンシックはSSのクロス持ちで共通

種牡馬スワーヴリチャードの評価

血統表を見ても、Unbridled’s Song(スピード)・サンデーサイレンス(瞬発力)・トニービン(底力)と各要素がバランスよく散りばめられており、芝向きの主要なサイアーとしてこれからも活躍馬を出していくことが予想されます。

ただし、少し気を付けたい点として、現状の獲得賞金上位馬がG1馬を出すような優秀な母系出身に集中している点です。

  • レガレイラ(ウインドインハーヘア牝系)
  • コラソンビート(近親ウインマリリン)
  • アーバンシック(ウインドインハーヘア牝系)
  • スウィープフィート(祖母スイープトウショウ)

おそらく、どんな母系でも引き上げるほど万能な種牡馬という訳ではなく、良血ではないファミリー出身の馬は、クラシックというよりは2歳戦やマイルでの活躍がメインとなる馬が多くなりそう。

このあたりは種付け料が1,500万円に引き上げられたこともあって、ノーザンファームを中心に、良血の繁殖を集中させる意図も感じられるところ。

同じハーツクライ系統の種牡馬の中の比較では、ジャスタウェイやサリオスなどを比較すると配合はパターン化しやすく、血統・配合を重視した選馬が有効に働きそうです。

(文=桜木悟史

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