SS系の分岐と第三勢力の兆し|2024年JRA種牡馬リーディング解説

競馬コラム

2024年の振り返り

JRAの2024年度の種牡馬リーディングが確定。上位は、下記のような順位で確定しました。

1位:キズナ(前年4位)
2位:ロードカナロア(前年2位)
3位:エピファネイア(前年9位)
4位:ドゥラメンテ(前年1位)
5位:ハーツクライ(前年5位)

これまで長らく上位に君臨していたディープインパクトがベスト5から消え、早逝してしまったドゥラメンテも下降。一方でエピファネイアが順位をあげてきました。

19位のキングカメハメハは、ペプチドナイルスタニングローズでG1を2勝。最後の輝きを見せました。ディープインパクトもまだまだ1頭あたりの賞金パフォーマンスは優秀です。

昨年の回顧記事では、以下のようなことを書きました。

2023年はディープの死去もあって、キングカメハメハ系が1位、2位となりました。

ただ、この先キングカメハメハ系が台頭してくる訳ではありません。ご存じの通り、ドゥラメンテはすでに死亡、ロードカナロアも種付け料の高騰により頭数が少なくなっているので、おそらく2024年のサイアーランキングも大きく変わってくることでしょう。

一方でSS系は、ハーツクライも死亡し、ダイワメジャーも引退。どのあたりがSS系の主幹となっていくのか注目したいところです。

サンデーサイレンス系の話をすると、キズナが初めてリーディングを獲得。今後、コントレイル産駒も登場してくると思いますが、ディープインパクト系の主軸はキズナ産駒になっていくのではないか、と個人的にはみています

それを脅かすのがブラックタイド系でしょう。キタサンブラック産駒はもちろん、2027年シーズンからはイクイノックス産駒が登場予定。キズナvsキタサンブラック・イクイノックス連合軍という構図になっていくと予測します

あと2026年にむけてはハーツクライ→スワーヴリチャード(2024年12位)の世代交代が進むでしょう。優良な繁殖を揃えた2024年産がデビューする2026年・27年にはおそらくスワーヴリチャードが、ハーツクライがキープしていた5位前後におさまってくるのではないでしょうか。

今後の展望

今後の展望については昨年の記事に書いた見通しとあまり劇的な変化はないとみています。

詳しい解説にご興味がある方はリンク先をご覧頂ければと思いますが、簡潔にポイントを改めてまとめると

①大種牡馬イクイノックス時代の到来
②スワーヴリチャードがSS系のセカンドポジションヘ
③Unbridled’s Songの血が求められる時代へ

となっており、①②については前述のとおり。

③だけはコントレイル産駒が思った以上にマイラー量産型である点、また日高産を中心に「身体が小さい、なかなかうまく育成できていない」という話も聞くので、ここの確度はやや低下。

逆に、というとおかしいですが、シスキン産駒は葉牡丹賞勝ちのヴィンセンシオなどを見ていると中距離タイプが多いのでUnbridled’s Song持ちではこのあたりからクラシック候補生がどんどん出てくるパターンもありそうです。

ダート路線ではダーレーに繋養されているウィルテイクチャージ174頭種付け。2026年から本格的に頭数が増えるので、ここがUnbridled’s Song持ち種牡馬の分水嶺となるかもしれません。

それ以外の新興勢力として面白そうなのは今年の2歳が好調だったナダル2歳サイアーランキングの解説記事でも触れましたが、パフォーマンスを示す各指標が良く、ますます活躍が見込めます。

それこそ2025年の南関東クラシックで勝ち馬を出すようなら、もっと人気は高まるでしょうから(ただし2025年からは種付け料が1,000万円にup)、来年2025年が終わった時にナダルがどれぐらいの順位にいるのか注目です。

来年のサイアーランキングでは2世代しかいなくてもベスト20位前後に名を連ねていても不思議ではないような気がします(2024年度は66位)

芝のエピファネイア、ダートのナダル、さらにはこれから産駒デビューが控えているエフフォーリアというようにロベルト系が再興していく流れもあるかもしれません

(文=桜木悟史

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