この記事では、出資馬であるカラヴァジェスティがシンザン記念で「どれぐらいチャンスがあるのか?」「勝つとしたらどんなケースか?」みたいなことを出資者目線で語っていこうと思います。
前走の振り返り
まず前走の振り返りから。この馬はデビュー戦の選択が少し特殊なケースでした。当初、奥村武調教師は「今はそれほど気持ちを前に出していないので、ダート1600mが合っているとみています」と話していました。
調教であまり自分から行く姿勢を見せなかったことから、1300m,1400m戦よりはマイルを使ったほうが追走できるだろうというのが師の見立て。
結果的にダートのマイル戦は除外が濃厚だったため、芝の1400m戦に変更して勝利をあげることになります。
レース内容としてはタイムが示す通り平凡、ただし前半37.1という超スローペースを11番手で追走、元々陣営としてはまだ馬自身の追走する意識が高くないことから、長めの距離を使おうとしていたところとうまく合致した部分はあるかと思います。
折り合いとしては、超がつくスローでもかかるようなところはなく、鞍上がゴーサインを出すと瞬時にギアチャンジ、最後の2Fを11.0-11.0で減速することなくフィニッシュ。このラップを見る限り、1Fの距離延長は問題ないとみます。
臨戦過程
11月末時点でシンザン記念に目標を定めて、12月17日に美浦へ帰厩。
まず調教過程としては、冬場でかなり負荷がかかるウッドチップコースで入念に乗られてきました。小柄な馬体ですが、状態に気になるところがあればポリトラックなども挟んでいたはずで、このあたりから察するに状態に関しては自信がありそうです。
奥村武調教師が唯一、懸念点としてあげていた「トモに力が欲しい」という点については、どこかのスポーツ紙の報道で「馬具で解消した」とありましたので、目立った不安はなさそうです。
時計を見ると、1週前までは6ハロン80秒台後半で調整してきていたところを、最終追い切りでは6F 83.9でまとめており、本馬の自己ベスト。強度の高い調教をしています。
新馬戦で確認・経験できなかったこととして「早めに抜け出したときに、ソラを使うかどうか?」という点があげられますが、1週前追い切りでは併走馬に対して0.7秒差・4馬身をつけて加速ラップでフィニッシュ。仮にソラを使うことがあれば奥村武調教師は言及する方なので、そういう部分でも不安はなさそうです。
今週の最終追い切りはラスト11.9。昨今、2歳・3歳でも11秒台を出すような環境ですから特筆したものではありませんが、映像をみると、外の古馬2勝クラスに対してほとんど促すこともなく併入。
仮にあそこから鞍上がゴーサインを出せば、1週前と同様に一気に併走馬を突き放していたかと思います。
鞍上の選択について
以前書いた記事 では「シンザン記念を選択するにあたって、上位の騎手を手配するだろう」という話を書きました。具体的には、川田騎手かルメール騎手という名前を書きました。
残念ながらルメール騎手は(おそらく)バカンス中、動向が不明だった川田騎手はアルテヴェローチェへの騎乗が決まりました。
その中で奥村厩舎が選択したのが池添謙一騎手。この選択に対して、私は「馬に対する自信」と「この一戦で賞金を加算させたい意欲」を感じ取りました。
奥村武調教師は馬との相性や、その時々に馬が置かれている成長度合いなどを考慮して騎手を選択します。
たとえば新馬戦で謎の惨敗を喫してレースの勉強が必要だと感じたであろうサーマルウインドの2戦目に岩田康誠騎手を起用して教育させたり、同厩のカラマティアノスなども課題を多く口にする中でこうやまき賞で川田将雅騎手に騎乗依頼するなど、意図をもって鞍上を選択することが多いのです。
その点を考慮すると、少し失礼な言い方にはなりますが、池添騎手は馬の教育に長けているというタイプではなく、レースで勝ち切る勝負駆けに適した騎手です。
今回のシンザン記念出走が奥村武調教師自身の選択なのか、それともノーザンファーム天栄の采配によるものなのかは定かではありませんが、大きなレース(GI)が設定されていない中京マイルにわざわざ関東馬を遠征させるあたり、賞金加算は大きな目標であり、それに向けた勝負気配漂う鞍上選択と言えるのではないでしょうか?
展開・トラックバイアス
今回の出走にあたっては抽選もあった関係で、事前にレースのシミュレーションをあまりできませんでしたが、ハナを切る可能性が高かったミニトランザットが除外、スピードに自信があるアーリントンロウも今回は初マイルで、しかも外枠ということで積極的にはいかないとみます。
コース設定としてもスタート直後に上り坂があることからハイペースにはなりづらく、これまでの傾向をみても、前半3Fを35.0前後で通過することが多いレース。よって今年も似たようなミドル~スローが想定されます。
馬場は、正直なところ、当日になってみないとわかりませんが、冬場の中京マイルを大外から差し切るのは容易ではなく、中団より前のポジションがセオリー。
土曜の競馬をみても、内から4,5頭あたりが一番伸びるコースで、それよりも外は伸びあぐねています。4コーナーで外を回されると厳しい戦いになります。
そういう意味では6番枠というのは理想的な枠番だとみます。しかも内に先行したいマイネルチケットがいるので、そこを外からマークすれば自然と直線では進路を選択できるポジションに入ります。内にいるジーティーマンはスタートに問題があるので、それよりも速く前に出れれば内に寄せられます。
カラヴァジェスティについては差し想定をされている方がいますが、ここまで話してきた通り前走よりも馬が前向きになっているという点を加味すると、おそらく陣営は先行策も視野にいれているとみます。
奥村武調教師は池添騎手にオーダーを出すことはないでしょうが、仮に池添騎手から「前に行ってもいいですか?」と聞かれたらOKを出すはず。実際、今日の競馬を見ても池添騎手が前目を意識していることが伝わってくるので、馬場状態が大きく変わらない限り、前付けして一発を狙ってくるとみます。
馬自身も、募集当時から前駆が強いタイプでしたからスタート直後の坂も苦にせず、前にスペースが空いていれば二の足を使って前をとってくる可能性がある程度高いとみます。
仮にそうならなくてもマイネルチケットを斜めにみるような内目の5,6番手のポジションで脚を溜めて最後の末脚に賭ける形となりそうです。いずれにしても外を回す形はダメなので、なんとかスタートを決めて内目のポジションをキープできるかどうかがカギになるでしょう。
相手関係
有力どころでは、アルテヴェローチェは個人的には疑問視しています。ここ2戦の競馬を見ていると「馬に囲まれるとポジションを下げてしまう」部分があるとみます。このあたりがおそらく
須貝調教師は「川田騎手は『すごくいい馬だけど、気の難しい面があるので、気持ち優先の攻め馬をしました』と言っていました。それを確認してもらえて良かった。前回(朝日杯FS=5着)はあの馬に合わないペース。左回りのマイルは結果も出しているからね」と期待した。
【シンザン記念】アルテヴェローチェは川田将雅騎手騎乗で鋭い伸び 須貝調教師「確認してもらえてよかった」 | 競馬ニュース – netkeiba
の「気の難しい面」。おそらく近くに馬がいると気負ったりするような一面があると推測されます。
特にサウジアラビアRCは、内枠から悪くないスタートを切ったものの、外から進出されると抵抗できずにポジションを後方に下げました。結果的に大外に出して差し切りを決めましたが、これと似た動きを朝日杯FSでも見せています。
ペース的にもおそらく今回のシンザン記念においてレースが速く流れる可能性は高いとは言えず、有力どころの中では軽視したい存在です。
相手筆頭はリラエンブレムだとみています。当日、浜中騎手がどういう乗り方をするのか読めない部分がありますが、内で脚を溜める形なら最後は弾けそうな1頭。それこそカラヴァジェスティと欲しいポジションを奪い合う形になりそうなので、この馬とのポジション争いが勝負を分けるとみます。
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