キャロットクラブの馬名選考のトレンド考察

競馬コラム


昨日2月21日にキャロットクラブの2歳馬の馬名が発表されました。2年前には一度発表した馬名を変更するなど、ひと悶着がありましたが、この2年でだいぶ選考方針を変えてきた印象があり、それが本当なのか検証してみました。

昨年2024年と、今年2025年の1次募集の96頭を比較すると以下のような変化があることが見えてきました。

地名などのマニアックな固有名詞が減少

今年の馬名一覧を眺めて感じたのは「よくわからない土地や名所などの名前が減った」という点。そこで実際にカウントしてみると以下のような結果となりました。

2024年(22年産):14頭
2025年(23年産):6頭

実際に半減しており、印象は間違っていませんでした。

その土地の由来や文化的な立ち位置などがわからないものは安易に名前に採用すべきではないでしょう。それこそちゃんと調べなかったからこそ、スレイブアイランド事件のような事態が起こってしまったわけです。

また応援という意味でも、海外のよくわからない土地や名所に愛着が持てるかというと、(個人差があるでしょうが)冷静に考えると不思議な感じになります。

また上記と関連する部分でもあるかもしれませんが、馬名の言語にも変化がありました。

◆2024年の採用言語
🥇 英語:49頭
🥈 イタリア語:11頭
🥉 フランス語:9頭
🥉 ドイツ語:9頭

◆2025年の採用言語
🥇 英語:59頭 (+10)
🥈 フランス語:13頭 (+4)
🥉 イタリア語:6頭 (-5)

そしてランク外ではスペイン語が8頭→5頭(-3)ドイツ語が9頭→3頭(-6)と数を減らしています。この点からも、ローカル固有名詞の採用が減っていることが推察されます(フランス語だけは増えている点は興味深いところ)。

これは邪推かもしれませんが、言語の意味を確認しやすい英語を採用することでクレーム発生のリスクを下げる意図があるかもしれません。

競走馬への期待を込めた馬名が増加

次に注目した点は「競走馬への願いや想いについて言及した馬名やコメントが増えた」という点です。

前述のローカル固有名詞もそうですが、近年のキャロットクラブは単語の意味をあまり重要視せず、連想ゲームで単語を探すようなネーミングが主流でしたが、このトレンドにも変化が生まれつつあるように感じました。

そこで馬名のコメントに「願い」「想い」「勝利」など、競走馬のキャリアに関係するような馬名やそれに類するコメントが添えられている頭数を集計しました(一部、筆者の感覚で判断しているものがあるのでカウントは人によって異なる点はご了承ください)。

2024年(22年産):7頭
2025年(23年産):14頭

昨年比較でこのパターンが倍増。全体的にポジティブな単語の採用が増加していますし、明らかに2024年以前よりも馬名の意味のウェイトを大きくしたことが伺えます

また今年からは備考欄が増えたことで、命名応募者が馬名に込めた意味や想いをキャロットクラブの担当者が汲みやすくなったことも後押しとなっていそうです。

なかなか32文字以内で想いを込めることは難しいでしょうし、そこに対して備考欄を増設した対応など、キャロットクラブが馬名に関する問題に真摯に向き合おうとしている姿勢が感じられます。

父母両系のフュージョン型が増加

もうひとつ興味深い点が「父系・母系の両方から意味や単語を連想するフュージョン型のネーミングが増えた」という点です。

キャロットクラブは、アワブラッドを謡っていることもあり、基本的には「母名から連想」が多いクラブでした

しかし、今年に関しては「父名・母名から連想」というような形で父系・母系の両方から馬名を連想したフュージョン型が増加しています。

2024年(22年産):6頭
2025年(23年産):12頭

これが来年以降も続くのかはわかりませんが、個人的には単なる単語の連想ゲームよりかは、この方法のほうがオリジナリティのある馬名が生まれやすく、半兄姉とも差別化でき、馬名を考える労力が報われる気がします。

ちなみに同じフュージョン型でも、シルクホースクラブの「父の一部+母の一部」というような直接的なフュージョン型とは異なり、意味や表現を少し発展させる感じが求められる点も特徴といえそうです。

複数人による命名重複の増加?

そして最後に、これは正確な集計ができないのであくまでも筆者の印象によるものですが、今年は「同一の馬名に対して、複数名の方が命名者になっている」というシーンを昨年以上に見かけました。

あくまでも自分のタイムライン上での出来事なので正確な比較ではないですが、今年は昨日だけで3例ほど見かけました。昨年はあまりこういうシーンは見かけなかったと記憶しています。

たまたまということもありそうですが、命名者が重複しているということは、ある意味、多数決のような形で馬名を決定した馬もいるということは言えそうです。

この方法だと馬名に対する不満が出にくくなるはずで、キャロットクラブがここ近年の馬名に関する騒動に対してセンシティブに捉えていたとすれば、多数派の命名の採用が増えていても不思議ではない気がします。

かつて筆者がゴットフリート号の命名をした際(2012年)も命名者は少なくとも4名はいましたが、いつしか、この多数派の命名が採用されにくくなっていました。

これは邪推かもしれませんが、近年のキャロットクラブはデビュー前の写真の送付もなくなり、会報誌のプレゼント企画も年1,2回に減るなど(以前は毎月実施していた)、物理的な発送のコストダウンを徹底しています

その観点でいえば、命名者の記念品のプレゼントを送る量も減らしたい意図があり、重複している馬名候補よりも、1人しか命名者がいない馬名を積極的に採用していた可能性はあります。

そういう背景もあって、近年は冒頭に述べたようなマニアックな固有名詞の採用が増えていた、と考えるのは考えすぎでしょうか。
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いろいろな分析・見解を述べてまいりましたが、2年前の事件を契機にキャロットクラブも馬名決定に対する意識変革が行なわれ、今年2025年の発表ではそれが目に見える形で変化が起こったと筆者は考えています。

今年も私の馬名は採用されませんでしたが、クラブとしては良い方向に進んでいると感じますので、来年以降もこの傾向が続くことを願って、この記事を締めさせていただきます。

(文=桜木悟史

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