これまで長年、POGを運営してきた経験や、独自のデータ・傾向分析から競走馬への出資に関する考え方をお伝えします(当診断記事シリーズを初めてご覧になられる方は先に こちら に目を通して頂けると幸いです)
<出資馬選びの方向性>
・募集価格に対する賞金回収率を重視
・クラブ内世代トップ10を目指せるか?
<主な分析ファクター>
・血統&配合、種牡馬傾向、性別傾向
・厩舎力、厩舎傾向
・DVDでの動き(怪我のリスク)
シェリトリンド
父:ステイゴールド
母:ラクカラチャ
牝馬
募集価格:3000万
預託予定先:国枝栄厩舎(美浦)
コストパフォーマンスの良い馬を見つける1つの方法として「初仔に近い仔を先物買いする」という方法があります。兄姉の実績がないので募集価格も必要以上に高くならないというメリットがあるからです。
そして、それに付随する形で面白いのが「実質的に初仔と言える馬を狙う」という方法。このラクカラチャのように、日本での最初の産駒が日本に馴染みの少ないElusive Quality産駒のエルクンバンチェロ、そして初めてSS系を交配したのが本馬ということで、牧場サイドとしてはこちらのほうが本命というパターンを狙う方法です。
さらに半兄のエルクンバンチェロはまだ未勝利の身ですが、芝1200m戦でハナを切れるようなスピードも持っており、日本の馬場への適性もある程度、保証されています。こういうパターンはのちのちコンスタントに良質な産駒を輩出してくる可能性もありますので、仮に本馬が2,3勝あげるような活躍をしてくるようであれば、母馬は末永くマークしていくべき存在となります。ただし、残念ながらラクカラチャは本馬を出産後死亡しているので、出資者にとっては本馬の一発勝負となります。
配合的なマイナス面について触れておくと、母系とステイゴールドとの適性距離のミスマッチ感は気になるところ。
母のラクカラチャは英G1・ナンソープS[芝5ハロン]のウイナーで、その父PiccoloもまたナンソープSを勝つなど短距離路線で活躍した血統。日本では母父にPiccoloをもつ代表産駒は小倉2歳Sを勝ったマイネルエテルネル。やはり短距離色が濃いと言わざるをえません。実際、馬体もチェックしましたが、前脚で歩くタイプで短距離志向が強いと判定しました。
歴代のステイゴールド産駒の活躍馬の母父の名前を見ていくと、黄金配合と言われるメジロマックイーンを筆頭に中長距離路線の種牡馬が多く、短距離路線の牝系とのミスマッチ感は統計的にも無視できないでしょう。またステイゴールド産駒の獲得賞金上位はかなり高い確率でNorthernDancerのクロスを持っており、本馬はそのクロスを持っていないので配合的にはあまり大物感は感じません。
それらを総合すると、ステイゴールドの牝馬で一口7.5万円、3000万円の募集というのはやや割高かもしれません。維持費込みでプラス回収を目指す場合、条件戦で最低3~4勝以上、およそ6000万円以上を稼げるかどうかという点を各自がどう判断するかによるかで評価が決まってきそうです。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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※出資判断はご自身の責任でお願いいたします。責任は負いかねます。
※写真などはクラブの許可を得て掲載しております
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