これまで長年、POGを運営してきた経験や、独自のデータ・傾向分析から競走馬への出資に関する考え方をお伝えします(当診断記事シリーズを初めてご覧になられる方は先に こちら に目を通して頂けると幸いです)
<出資馬選びの方向性>
・募集価格に対する賞金回収率を重視
・クラブ内世代トップ10を目指せるか?
<主な分析ファクター>
・血統&配合、種牡馬傾向、性別傾向
・厩舎力、厩舎傾向
・DVDでの動き(怪我のリスク)
ルエヴェルロール
父:ステイゴールド
母:グレイトフィーヴァー
牝馬
募集価格:2600万
預託予定先:大久保龍志厩舎(栗東)
この一族についてはラフォルジュルネ、アーデント、ラブラバードと出資してきており、常日頃から考えているので、いろいろな面から評価していきたいと思います。
まず配合的な話からすると、最近のノーザン系の募集ではかなり少なくなったと思われる5代目までにクロスを持たないアウトブリード。それが影響しているのか故障率が低く、勝ち上がり率が高いのが特長。グレイトフィーヴァー産駒は10頭中8頭が勝ち上がっています。しかもOP以上で活躍した馬も複数いますし、これは優秀な成績です。
しかし逆にこれをステイゴールド側から見た場合、重賞級の活躍をするにはNorthernDancerのクロスなど強調部分がないと厳しいので、物足りないというのが正直なところ。ラフォルジュルネにしても、アーデントにしても、下級戦などで強い勝ち方をしつつも、OPや重賞ではなかなか力を発揮できない(能力が足りていない)ことを考えると配合としては「超大物感はない」というのが評価となります。
次に注目したいのは母が年を重ねてきたという点。
本馬の出産時が17歳ですから世間一般のセオリー的にはそろそろギリギリなラインです。筆者もこの点が気になり、ラブラバード以降は出資をしなくなっているので、この点は毎年気になっています。とりわけ2014年度産駒は空胎明け。一般的には空胎明けは良い評価をする方もいますが、筆者はこれまでずっと毎年欠かさず妊娠・出産できていたグレイトフィーヴァーが妊娠できなかったあたり、「少し衰えが出てきたかな?」と勘繰っています。
実際に馬体を見ても、少し後脚に硬さを感じる部分がありますし、馬体重もこれまでの兄姉ではありえないほど軽く(415kg)と出ました。これをステイゴールドの遺伝の影響と捉えるのか、それとも繁殖力の低下と捉えるのかは個々の判断でしょうが、この一族をずっと見てきた筆者からすると、やはり繁殖力の衰えはあるように感じます。少なくとも本馬の馬体に心は動きませんでした。
あと科学的な根拠はありませんが、毛色にも注目してみると面白いでしょう。
アーデントやラブラバードのように芦毛が出てグレイトフィーヴァーのほうの血が濃く出ている場合には持久力重視、一方でラフォルジュルネやシャルールのように芦毛以外になると意外な切れ味を発揮する場合があります。この傾向は特に牝馬だと強いようです。そして本馬は黒鹿毛に出ましたので、シャルールの新馬戦のような末脚を使うタイプになっていく可能性はありそうです。
あと判断が難しいのは大久保龍志厩舎のデータでしょうか。
少し前まで大久保厩舎は牝馬で結果が出ていなかったのでマイナス評価になりえましたが、最近ではスマートレイアーの活躍や、本馬と同じステイゴールド産駒のウインプリメーラの活躍もありますので、このあたりの経験がうまく作用してくれば、いい結果が出てくる可能性もありそうです。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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※出資判断はご自身の責任でお願いいたします。責任は負いかねます。
※写真などはクラブの許可を得て掲載しております
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