これまで長年、POGを運営してきた経験や、独自のデータ・傾向分析から競走馬への出資に関する考え方をお伝えします(当診断記事シリーズを初めてご覧になられる方は先に こちら に目を通して頂けると幸いです)
<出資馬選びの方向性>
・募集価格に対する賞金回収率を重視
・クラブ内世代トップ10を目指せるか?
<主な分析ファクター>
・血統&配合、種牡馬傾向、性別傾向
・厩舎力、厩舎傾向
・DVDでの動き(怪我のリスク)
ミリッサ
父:ダイワメジャー
母:シンハリーズ
牝馬
募集価格:3600万
預託予定先:石坂正厩舎(栗東)
この馬に関しては、まず厩舎の話から始めたいと思います。
筆者は「石坂厩舎は牝馬で買い、牡馬で評価下げ」という指針で選考しています。ジェンティルドンナなどを育て上げ、キャロットクラブからもマイルCSを制したブルーメンブラットを輩出するなど牝馬の育成には定評があります。
一方で牡馬、とりわけキャロットクラブの牡馬とは相性が悪いようです。
アロンダイトやデリッツァリモーネ、アダムスピークなどOPや重賞で活躍した馬もいますが、その後は故障したり、まったく別馬のようになってしまったりなど運がありません。個人的には今年のダービーに状態が間に合うかどうかのアダムスブリッジ(17着)を無理やりダービーに出した点もあまり評価できません。あえてきつい言葉で表現するならば、牡馬の管理がやや雑な印象を受けます。その点、今年は牝馬に出ましたので、これで厩舎に関する不安はほとんどなくなったとみます。
配合的な話をすると、以前執筆した 「ダイワメジャー産駒の中からPOG活躍馬を見つける方法」 の「マイル路線の実績がある厩舎」「母父がNorthernDancer系」という条件を満たしていますので、これに「2歳夏から始動できる仕上がりの早さ」が加われば、一口馬主・POG的には有力な存在となるかもしれません。
ただ今後の勉強のために少し不安材料も記しておきます。
ダイワメジャーにはキレがあるタイプの肌馬を持ってきたほうが父のキレ不足を補えるわけですが、シンハリーズはSadler’sWellsの系列。字面からすると少し鈍重なイメージを受けます。Singspielを挟んでいますのでスピードはあるほうですが、このパターンがどんなキレを見せるのか今後検証したいところ。
あと都市伝説的な話をすると、シンハリーズの2014の1つ上、シンハライト(父ディープインパクト)はノーザン関係者の評価が高いようです。それを裏付けるかのように今年5月のノーザンホースパークマラソンではシンハライトの出資権利が賞品として提供されたそうです。かつてはハープスターもこのプレゼントになるなど、「マラソンの賞品になった馬は走る」というオカルトな話もあります。そして、なぜこの話をしたかというと、シンハリーズの2014は種付けの際、元々ディープインパクトをつける予定だったのが受胎せず、ダイワメジャーに変更されたという経緯があります。
つまり牧場関係者の本音としては、シンハライトなどの出来の良さから本当はディープインパクトをつけたかったという情報を、検討者がどう深読みするかというのも1つの面白いところだと思います。
馬体に関してはまぁまぁという印象。これで一口9万円というのは少し割高な気もしますが、まだ成長余地をかなり残している印象ですので、ここからの成長に期待したい1頭です。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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※出資判断はご自身の責任でお願いいたします。責任は負いかねます
※写真などはクラブの許可を得て掲載しております
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