これまで長年、POGを運営してきた経験や、独自のデータ・傾向分析から競走馬への出資に関する考え方をお伝えします(当診断記事シリーズを初めてご覧になられる方は先に こちら に目を通して頂けると幸いです)
<出資馬選びの方向性>
・募集価格に対する賞金回収率を重視
・クラブ内世代トップ10を目指せるか?
<主な分析ファクター>
・血統・配合、種牡馬傾向、性別傾向
・厩舎力、厩舎の方針
・DVDでの動き(怪我のリスク)
レヴェンスホール
父:クロフネ
母:フローリッドコート
牡馬
募集価格:1600万
預託予定先:宮本博厩舎(栗東)
この仔はこのシリーズを執筆する前の 予告記事 の中で注目馬として取り上げた1頭でしたので、募集金額が発表されてすぐに金額を確認しました。正直な感想は「安い♪」でした(笑)。
では、なぜこのフローリッドコートに注目したかといえば、予告記事の中でも書きましたが、フローリッドコートの繁殖成績を見ていくと「サンデーサイレンスの強さを強く主張してくれる優秀な牝馬」だというのがよくわかるからです。
具体的には、スウェプトオーヴァーボード産駒の半姉フローレデセレッソが3勝、キングカメハメハ産駒の半兄ミッキードリームが朝日CC勝ちを含む5勝、いわゆる母父サンデーサイレンスと相性がよい馬で結果を出しています。そして本馬はクロフネ産駒。クロフネ産駒も母父サンデーサイレンスと相性抜群です。実際、フローリッドコートの初仔はクロフネ産駒で、その初仔・アドマイヤウイナーは1勝ながら堅実に走って2855万円の賞金を獲得。相性は悪くないだろうと判断しました。
こうして書いていくと、プラス材料ばかりになっていくので、ますますこの値段の理由がわからなくなってきます。
そこでもう少し掘り下げていくと、たとえばキャロットクラブでも募集されたタニノギムレット産駒の半姉フリージアコートは未勝利で終わっています。タニノギムレット産駒も母父サンデーサイレンスとは相性が良いので、この原因を突き止めるべくフリージアコートの過去の近況をチェックすると、2歳10月に本州移動の際に馬運車でトモをぶつけて、トモには骨折の疑いあり。それでデビューが遅れて、3歳7月にデビューもタイムオーバーで未勝利引退。つまり、半姉の不振は外的要因にあったことがわかります。
以上のことから、母の高齢化(出産時は16歳)という懸念はありますが、血統・配合面からはほとんど不安がないだろうとの判断をしました。そうなると、あとは本馬の馬体のつくりをみて、不安材料がないかチェックをしていく作業となります。
その馬体ですが、踏み込みは深いですし、なによりクロフネ産駒らしいゴツゴツとした歩き方をしていて、これは良いクロフネ産駒の特徴が出たと思います。毛色は鹿毛に出たので、おそらく適性はダートよりも芝、距離適性的にはマイル、よくて1800mが限界でしょう。変に長い距離に適性があるよりもクロフネ産駒が活躍できる舞台にフィットしている馬体で、これはリーズナブルさを加味しても高い評価をしています。
ただし気になるのは肩周辺の外傷です。これ自体は問題ないですが、この傷が暴れてついた傷だと仮定すると、少し気性面でうるさい部分がある可能性は考慮にいれておきたいところ。いずれにしても適性距離は短めでしょうから大きなデメリットにはならないでしょうが、ツアーなどではこのあたりを観察できるとよいかと思います。
予算の関係でここまで手が回るか不明ですが、もし2次までにこの馬が残っているようであれば積極的に狙ってみたい1頭です。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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※出資判断はご自身の責任でお願いいたします。責任は負いかねます
※写真などはクラブの許可を得て掲載しております
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