先々週、先週と行なわれた2歳王者決定戦に対してモノ申したいことがある。
今年から枠順の公平性を求めて、朝日杯FSが阪神開催となったが、結果的に2週連続でディープインパクト産駒が勝つという結末になった。個人的にはこれはつまらない。確かに枠順の差がなくなり公平にはなったが、これは馬産地的にはいかがなものだろうか。結局、ディープインパクト産駒に有利な舞台設定になってしまい、ますます零細な生産者には厳しいものになったように思える。
ここ数年の朝日杯の勝ち馬を見ても、サクラバクシンオーにシンボリクリスエス、ローエングリンにヘニーヒューズと多彩な種牡馬ラインナップだった。これがこれから数年、朝日杯の勝ち馬にディープインパクト産駒の名前がズラっと並ぶ可能性があると思うと、やや興ざめだ。馬券以外にもPOGのケースで言えば「ディープインパクト産駒を選べばいい」というような風潮になれば、それは面白くないし、馬産・POGという文化が廃れていく気がしてならない。
だいたい阪神マイルコースの比重が重すぎる点も問題だろう。
2歳牡牝決定戦に、桜花賞、重賞ではアーリントンCにチューリップ賞と5つも重賞が設定されている。そのくせ古馬になった途端、阪神マイルで行なわれる重賞がなくなってしまう。そして逆に舞台は京都へ移り、京都金杯・マイラーズC・マイルCSと京都ばかりになる。このあたりは明らかにJRAのレースバランスがおかしいと言えるだろう。
朝日杯FSについて今さら中山に戻せとか言うつもりはない。ただ、今のままでは良くないだろう。そこで以前にも書いたが、平等を謳うのであれば関東と関西の中間に位置する中京での開催にして、「関ヶ原の決戦シリーズ」みたいにしたほうが盛り上がるのではないだろうか? そうすれば関東馬・関西馬の有利不利も改善される。この時期のG1に関しては、ジャパンCダートの取り扱い方にしても、JRAの企画室やレース担当部署は優秀とは言えない。
そろそろまとめに入るが、ここまで種牡馬の成績に偏りを持たせることは日本競馬界の発展を考える上でもあまり好ましくない。競馬の世界と競走馬の繁殖が切っても切れない関係にある以上、一系統だけが未来永劫に発展することはありえない。なぜなら他の系統も成長し、それらを掛け合わせることでサラブレッドは更なる進化を遂げられるからだ。興業的にも、ブラッドスポーツの観点からしても、何の考えもなく、阪神のマイルコースで2週連続でG1を行なう今年からの2歳王者決定戦は面白くないのである。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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