今年の2歳世代がデビューとなったルーラーシップ産駒。この記事を執筆時点で3頭が新馬戦を勝利しており、上々の滑り出しをきっている。そこでまだサンプル数は少ないが、ルーラーシップ産駒の勝ち上がり3頭の血統表を見たところ、ある共通点が見られたので紹介したい。
現時点で勝ち上がっているのは以下の3頭。
キングズラッシュ(リコリスの2014)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106211/
イブキ(ピサノドヌーブの2014)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014100093/
ダンビュライト(タンザナイトの2014)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106010/
■やはりサンデーサイレンスと好相性!
まず、当然の共通項ではあるが、母系に3頭ともサンデーサイレンスが入っている。キングカメハメハ×エアグルーヴ×サンデーサイレンスの相性の良さはドゥラメンテで実証済みであり、またルーラーシップ自体にSSが含まれていないことからSS系牝馬と交配しやすいのがルーラーシップの売りであり、生産地もそれを期待して交配しているので当然の結果といえる。
ここでポイントになるのは「母父がサンデーサイレンスに限定されない」という点だ。
この点は重要で、たとえばクロフネやローエングリンなどは活躍馬が「母父サンデーサイレンス」に限定されがち。逆に例えばハービンジャー産駒はアグネスタキオンやスペシャルウィークなどのSSの直仔が母父に来ても活躍はできる。この点、ルーラーシップ産駒は後者に分類されそうで汎用性が高そうだ。さらにいえば、キングズラッシュのように母父シンボリクリスエスで母母方にサンデーサイレンスが入る形でも配合としては成立するようで、現段階の見解としては「母系の3~4代目までにサンデーサイレンスが入っていればSSは効果を発揮する」ということが言えそうだ。
■注目はプリンスキロ
次に血統表を眺めていると【Seattle Slew】や【Riverman】の名前を見かける。この2つはNusrullah[ナスルーラ]とPrincequilloを組み合わせた、いわゆるナスキロ血統で「ルーラーシップとナスキロ血統は相性が良い」という仮説が有力になる。
そしてさらに特徴としては、シアトルスルーやリバーマン以外のところにもプリンスキロが入っている場合が多いようだ。そこで上記3頭のプリンスキロのクロスを8代目まで確認すると以下の通りとなる。
キングズラッシュ
5代目にSeattle Slew、Princequillo 5x7x8のクロス
イブキ:
4代目にSealltle Slew、Princequillo 8×7のクロス
ダンビュライト
3代目にRiverman、6代目にPrincequillo+6代目にPrince Bio
ちなみに新馬戦は3着だったが、メイクデビュー東京でいい末脚を見せたレジェンドセラーも5代目にRivermanが入っており、かつPrincequilloの7×8のクロスを含んでいる。
ぜひこれからルーラーシップを検討される方は母系の【Seattle Slew】【Riverman】に注目してもらいたい。
ちなみにまだ現段階では牡馬優勢とは断言できないが、勝ち上がった3頭も含めて牡馬のほうがここまでは結果が出ている。体格的な問題で牡馬のほうが結果が出やすいかもしれないという懸念と、それでなくても牡馬のほうが仕上がりが早いかもしれないということを最後に付け加えておきたい。
今後、さらなる成功パターンが出てくれば、随時アップデートしていきたい。
■ルーラーシップ産駒まとめ
・母方に「サンデーサイレンス」で能力アップ
・母父はSS直仔でもOK
・ナスキロ血統と相性の良さそうだ
・特に【Seattle Slew】【Riverman】には要注目
・Princequilloのクロスは歓迎
(文=桜木悟史) @satoshi_style
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