今回はカジノドライヴ産駒について考察をしてみたい。

おそらくダート血統ということでPOG的には人気はないだろうが、今年2015年の夏にデビューとなる初年度産駒の頭数は141頭。どんな特徴があるのか考察しておいて損はないだろう。

■カジノドライヴの血統分析

血統でみると、個性的な特徴がないようにも感じる。まずSeattle Slewという系統自体の印象が薄い。種牡馬としては日本国内ではあまり結果が出ず、どちらかというとBMSとして、シーキングザパール・アグネスワールド・カワカミプリンセスなどを輩出している成績のほうが目立つ。

話をカジノドライヴに戻すと、Seattle SlewからA.P.indy→Mineshaftと系統が続いてカジノドライヴが誕生している。

まずA.P.Indyに注目すると、A.P.Indy産駒は代表産駒がシンボリインディ(NHKマイルC)、アラタマインディ(小倉記念)と意外にも芝での成績が目立つ。そして逆にMineshaftはサンプル数が少ないもののカジノドライヴやザッハーマイン(クイーン賞2着)とダート色が強い結果になっている。これはMineshaftの母系がミスプロ系であり、その影響が強く出た可能性がある。

このように、Seattle Slew(ダ)→A.P.Indy(芝)→Mineshaft(ダ)と父系としては主張が強くないという仮説が立てられる。
そして先ほどのSeattleSlewのBMSとしての活躍の話に戻すと、短距離のアグネスワールドからクラシックを勝ったカワカミプリンセス、さらにはダートで活躍したヒラボクワイルドなどとオールラウンドで活躍馬を出している。

このことからも「SeattleSlewは交配相手の影響を尊重する系統」と言える。

この仮説をもとにカジノドライヴ産駒の可能性を探ると、カジノドライヴの母はアメリカで多くのＧⅠ馬を輩出したBetter Than Honour。このダート適性の高さがそのまま産駒に影響して、カジノドライヴが誕生したわけである。仮にカジノドライヴが「相手を尊重する」特徴を受け継いでいるのであれば、以下の仮説を立てることができる。

■カジノドライヴ産駒の配合シミュレーションＡ

優秀な産駒を連続して輩出している母馬と交配させた産駒

2013年度の産駒でいうと、たとえばサセッティの2013(半兄レッドセインツ、半姉レッドセシリア)あたりが活躍すればこのパターンの仮説が有力となる。

ただ、この仮説に疑問もある。今回、キャロットクラブのカタログを見ていて感じたことは「総じてカジノドライヴ産駒は繋ぎが立っており、ダート適性が高そう」という特徴を見せていたからだ。つまり、体型においてはカジノドライヴ産駒としての特徴も見せているからだ。

このことから次の仮説も考えられる。それは「カジノドライヴはBetter Than Honourの影響を強く伝える」という可能性だ。

この場合、カジノドライヴ産駒はSeattle Slew系統ではなく、Better Than Honourの父・Deputy Minister系統と捉えるべきという考え方もある。この場合、参考にしたいのがフレンチデピュティの産駒成績。フレンチデピュティ産駒を元にカジノドライヴ産駒の成功パターンを導き出すと、以下の２パターン。

■カジノドライヴ産駒の配合シミュレーションＢ

濃い目のミスプロの血を持った繁殖と交配させてスピード面を強化させた産駒

■カジノドライヴ産駒の配合シミュレーションＣ

母父サンデーサイレンスの繁殖との王道配合をした産駒

フレンチデピュティの場合、配合Ｂではノボジャック(ダート重賞勝ち多数)やエアウルフ(根岸S)を輩出。母系にスピードのあるミスプロを持ってきたことでダート傾向が強く、距離適性としては短めに出る傾向がある。さらにカジノドライヴの場合はミスプロのクロス持ちになるので、このポイントが顕著に出る可能性もある。

一方、母父にサンデーサイレンスを持ってきた配合Ｃの場合は、レジネッタ(桜花賞)やサイレントプライド(富士S)、プロヴィナージュ(秋華賞3着)など芝の中距離での活躍が目立つ。

今回の記事はまだ仮説の段階であり、これから産駒がデビューしていく中でこれらの仮説を検証していくことになる。筆者自身もカジノドライヴ産駒に出資しているので、気づいたことがあれば、随時、補足していきたい。

（文＝桜木悟史）

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▼カジノドライヴの血統構成

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