さて、レース観戦の最後にレイデオロのレースについて振り返りたいと思います。
パドックはモニター越しに見ましたが、入ってきた様子を見ていて「あまり精神状態はよくない」と感じました。うるさいのはいつも通りといえばいつも通りでしたが、日本にいた時と比べると、明らかに集中力に欠けており、いろいろなところへ目線を送っていました。
関係者の方に聞いた話では、装鞍所までは落ち着いていたものの、パドック入りの時に何故か先頭で出ていくことになり、さらに先頭を歩く誘導馬の歩きがゆっくりだったせいでテンションが上がってしまったと言います。
それに加えて、レイデオロは近くに大きなビジョンがあると興奮してしまう習性があります。メイダンのパドックからはコース反対側のビジョンも見えるので、それも影響した可能性があります。

本馬場に向かうレイデオロ
そして返し馬を終え、ゲート入りしましたが、ここでアクシデント。
ホークビルとサトノクラウンがゲート内で暴れて、発走が遅れました。これにはルメール騎手も「早くスタートしてくれ」と心配な表情。
レース映像を確認しても途中まではゲートの中で我慢できていたレイデオロでしたが、最後のほうは我慢しきれずスタートで後手を踏んでしまいました。
その後は皆さんご存知の通り、スローペースの中、後方待機を強いられて、直線で追い上げるも4着。初めての海外遠征はほろ苦い結果となりました。
レース内容を分析すると、4着に終わったことはあまり悲観していません。
今回のレースはかなりのスローペースで向こう正面で1~3番手にいた馬がそのまま1~3着に入線しており、そのなかで7番手から4着まで押し上げたことは評価できるかと思います。
またダービーの時のように向こう正面で押し上げる作戦を実行しようにも、馬群の外に馬がいたので難しかったでしょう(加えてレイデオロ自身がJCの頃から折り合いが難しくなっており、京都記念であのような競馬をしてしまったので、今回ルメール騎手が折り合いを重視したそうです)。
それでもなおレース後、ルメール騎手が「思ったほど伸びなかった」とコメントしており、折り合いが難しかった点、そして馬場も合わなかったのだろうと思います。
脱鞍所に戻ってきたレイデオロが泥で汚れており、想像以上に水分を含んだ馬場だったそうです。当週のドバイはまったく雨が降っておらず、さらに私が見ていた限り、当日のレースが始まってから芝コースへの散水はなかったのですが、これは“ホームアドバンテージ”があったかもしれません。
いずれにしても
●ゲートで我慢しきれなかった
●スタートで後手を踏んでしまい、いいポジションが取れない
●道中でかかってしまい、最後の伸びが悪い
というのは馬の実力であり、今回の遠征は完敗だったと思います。
欧州の芝はこれよりも重いでしょうし、今後の海外遠征には反対ですが、陣営はどのような判断をするでしょうか。
結果は残念でしたが、海外での競馬観戦という貴重な経験をさせてくれたレイデオロには感謝したいと思います。彼の次走以降に期待します。
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(文=桜木悟史) @satoshi_style