愛馬レイデオロが天皇賞(秋)を勝つことができました。応援して頂いた皆さま、本当にありがとうございました!
個人的に、競馬にのめりこんでいった時期がシンボリクリスエスやゼンノロブロイが活躍していた頃なので、愛馬がこの秋の天皇賞を勝ったことは感慨深いものがあります。POGでピサノクウカイやチャイコフスキーを指名していた時代が懐かしいです(笑)
早速レースを振り返ってみましょう。
■厩舎の業が光った一戦
1週前追い切りのアクシデントもあり、心配された方もいるかと思いますが、そんな心配もレイデオロがパドック出てきた瞬間に杞憂に終わりました。ルメール騎手が「パドックで見た瞬間、完璧だと思った」と話した通りです。
その裏には日曜の調教を強くして、当初の予定通りに事を運んだ厩舎の調整能力の高さがあります。この厩舎の修正能力の高さはパドックの細かい部分にも現れます。まずオールカマーでは1人匹きだったためにレイデオロが首を上げるシーンもありましたが、今回はその反省を活かして2人匹きに変更。このお陰で今回のレイデオロは集中してパドックを周回することができました。
そして、今回もレイデオロにとって天敵ともいえる“東京競馬場のビジョン”。レイデオロはこのビジョンに馬の姿が映ると変なスイッチが入ります。昨年のダービーではこれがきっかけで馬のテンションが一気に上がりました。今回もビジョンがパドック映像に切り替わったところでスイッチが入りかけたとのこと。その些細な変化を見た藤沢調教師は、急遽スタッフを追加し、レイデオロの前に助手を歩かせるという采配を見せます。すると、レイデオロは前を歩く人間のほうに意識が向いて、スイッチがおさまったとのこと。この察知能力の高さと判断・対応の早さはもっと語られるべき点でしょう。
1週前の追い切り中止でも、普段から調教をつけている五十嵐騎手が異変を察知して追い切りを中止したことも含めて、チーム・レイデオロは完璧な仕事をしてルメール騎手にバトンを渡しました。
■勝負を分けたスタート
戦前の予想記事で「スタートで勝負が決まるといっても過言ではない」と書きましたが、まさにその通りになりました。
その記事ではマカヒキが内に寄せてくる可能性がある旨を書きましたが、その煽りを受けたのはスワーヴリチャードでした。仮にマカヒキ→スワーヴリチャード→レイデオロという順番でスタートが速かったらレイデオロも大きな影響を受けたでしょう。まさに勝負の分かれ目でした。
ちなみに今後の参考としてルメール騎手の「今回は偶数番だったのでゲートで待たされる時間が短く、ちゃんと出た」というコメントを紹介しておきます。このことからゲートの問題は改善されつつも、依然として残っていることがわかります。映像も確認しましたが、ゲートの中でごそごそと動いていますし、スタートもやや伸びあがるような形になっています。
ですので、たとえば次走の有馬記念で内枠の奇数番に入るようなことがあれば評価を下げることも検討しなければいけないでしょう。
■スタート以降は完璧
スタートをちゃんと出て、キセキが前に出ていった時点で「勝った」と思いました。何の文句もない完璧な競馬でした。今回は向こう正面で前に壁がなくても折り合っていましたし、折り合いをつけられる形に幅が出てきました。
個人的に凄いと感じたのは、直線で前が開いてもルメール騎手は持ったままだった点。ルメール騎手の「これぐらいのリードがあれば勝てる」という計算能力の高さが目立ちました。
レイデオロは勝った時の着差が最大で0.3秒(神戸新聞杯)で、いわゆる派手な勝ち方がありません。しかし、これはレイデオロの操縦性が高く、騎手の計算との誤差が少ないことの現れです。
このあたりが他のスターホースと比べて地味に映る部分かもしれませんが、必要最低限の走りで勝つことが故障の少なさにつながっている部分もあるでしょう。
返し馬でも以前に見せていたようなうるさい面がだいぶ少なくなってきていますし、陣営が話す通り、馬がだいぶ精神的に大人になってきています。スタートという課題は残りますが、有馬記念でも中ほどの枠であれば能力を発揮してくれるとみます。
あとクラブサイドから海外遠征の話が出てきたのは少し驚きました。この「海外」がどのレースを指しているのかは不明ですが、今後ルメール騎手の使い分けが続くと仮定すれば、アーモンドアイをシーマクラシック、レイデオロをドバイターフという使い分けもアリかもしれません。レイデオロはペースが流れたほうが力を発揮できるので、案外ドバイターフのほうが流れは向くような気はします。
余談ですが、昨日のレース後のトークショー内でレイデオロの距離適性に関して、ルメール騎手は「距離はあまり関係ない」と話していました。レイデオロのパフォーマンスを予想する場合、距離適性を考えるよりレースのペースを予想することが重要です。
レイデオロの評価みてると、ダービー当時は「母系から見て2400mは長い」って意見が大半だったのに、最近は「2000mは短い」って意見さえある。残念ながら本質はそこじゃない。レイデオロは距離よりもペースのほうが重要よ。
— 桜木 悟史 (@satoshi_style) 2018年10月28日
あと、ムーア騎手かスミヨン騎手を鞍上に迎えてシーマクラシックに挑戦するという可能性もあるかもしれません。ただドバイ(海外)は馬場が合わない部分もあるので、クラブには慎重に判断してもらいたいと思います。
いずれにしても来年以降、そして種牡馬入り後がとても楽しみになる1勝となりました。スローペースのダービーに、歴代2位の好タイムで決着した天皇賞(秋)を勝利できる万能なレイデオロからどんな仔が生まれてくるのか今から楽しみです。
(文=桜木悟史) @satoshi_style
バックナンバーはコチラ
2018年10月30日 20:22
大変おめでとうございます。
土曜日から藤澤厩舎は絶好調でしたし、勝つんじゃないかと思っていました。
一口での付き合い方は、ちょっと癖のある先生かもしれませんが、
やはり関東を代表するトレーナー、パドックでの対応力も含めて超一流です。
「馬に頑張るように言っておく」だけな訳がないですね(笑)
2018年11月2日 19:51
>黙殺常習犯さん
ありがとうございます!
ベースは「馬が頑張る」なんでしょうが、いかに100%の状態で出せるかをよく考えていると思います。出資者としては本当にありがたいです。