今回は先に結論から書きますと
・天皇賞秋よりは自信度は低い
・ここはレイデオロ2着付けの意味がある
と筆者は考えています。
もちろんこのメンバーであれば実力は抜けていますが、この中山2500mというコースはキングカメハメハ産駒の適性とはやや離れたところにある条件であることも事実です。そのあたりを血統的な背景も含めて述べます。
過去、有馬記念で馬券圏内に来たキングカメハメハ産駒は3頭。トゥザグローリーとトゥザワールドの全兄弟とルーラーシップです。前述の2頭は「Nureyev経由のSpecialのクロスで機動力アップ」という血統背景から中山は得意。この2頭は実際に有馬記念以外に中山での重賞勝ち実績があります。
レイデオロも4戦3勝と中山適性はあります。ただ有馬記念でキングカメハメハ産駒が勝ち切れていないことは事実であり、苦戦傾向にあることは事実です。なので、これまでの傾向を踏まえれば2,3着までというパターンは考慮に値するわけです(ただし筆者は2着を外すことはないと考えています)。
あとこの機会にレイデオロに関する「よくある質問」についても答えてみたいと思います。
Q:右回りは得意か?
右回りのほうが少しだけ得意です。ただし2000mまでであればほとんど差はありません。レイデオロは手前の関係で右回りのほうが得意ですが、その差は2000m以上の距離で現れます。実際、昨年のジャパンCでは直線で少し手前を変えるのに苦労した分、敗れています。
その観点でいくと、右回りの有馬記念ではおそらくスムーズに手前を変えられるのでスタミナ切れという心配はありません。
Q:レイデオロの弱点は?
あまり自らの弱点を晒すことは好ましくありませんが、弱点はあります。まずゲートの遅さはデビュー以来、最大の弱点です。天皇賞などは速いスタートを切れていますが、伸びあがるような恰好でのスタートとなっており、この不確定要素は健在です。
そして、もうひとつ、これは弱点というよりは未知の要素ですが、「レイデオロはコーナーで外からマクるような競馬をしたことがない」という点です。これまでのレースをみても、実はコーナーでぐんぐん加速するような競馬をしたことがありません。そのほとんどが直線で一気に抜き去る競馬です。レイデオロという馬は瞬時にギアが2段階以上あがるようなタイプでなく、最後まで減速なくギアを1つずつあげていくタイプなので、コーナーで瞬時に速度をあげられるタイプではありません。この未知の要素があとで記す「マクり馬の後塵を拝す」可能性にもつながります。
Q:距離延長は問題ないか?
今回は右回りなので手前はスムーズに変えられるので問題ありません。常々書いていますが、レイデオロのパフォーマンスを左右するのは距離よりもペースで、今回はキセキの出方次第で勝ち負けが決まります。
そういう訳で今回、レイデオロのパフォーマンスを左右する展開の話に入っていきます。
■有馬記念の展開を読む
まず可能性は限りなく低いものの異質なレースになるシナリオは「オジュウチョウサンが逃げて、後続2番手がまったく競りかけない縦長の隊列」。
キセキがいるので、こういう展開にはならないとは思いますが、たとえば実はキセキの体調が戻っておらず、「出足がつかない」「逃げない」などの想定外が起こればこの可能性はあります。
2番手以降もオジュウチョウサンの平地実績を軽視してプレッシャーをかけない。ルメールも力量を見誤って距離をあけてしまう。こうした不幸が重なれば、オジュウチョウサンのペース次第で一発はありえます。
ただ、今回はこのケースは無視します。基本はキセキが逃げる、もしくは他の馬が逃げていてもキセキがプレッシャーをかけるのでペースは流れる。これが基本線です。
キセキという馬は気分よく自分のペースで走ることが重要であり、それは川田騎手もよくわかっています。体調が普通であれば少なくとも直線まではレースをリードするはずです。そして、ルメール騎手は天皇賞秋でも、ジャパンCでも「キセキをマークしていた」とコメントしており、キセキが前に行った場合、ペースを見誤る可能性は限りなく低いでしょう。このパターンであればレイデオロはほぼ勝ちを手中に収めていると言えます。
問題はキセキがレースを引っ張る中、3角から4角にかけてマクって先頭に立つような馬がいるケースです。レイデオロが負けるとすれば、このパターンです。では、それを実行できる馬がいるか?
「これを実行できるとすればミッキースワロー」というのが筆者の予想。いつもの通りに後方に控えてくれるならあまり脅威ではないですが、まさかの先行策や中団の前目につけるようなことがあれば、そういうシナリオは考えられます。実際、ミッキースワローは今年のAJCCで9-9-3-3という機動性の高い競馬を実行しており、本馬が4角でレイデオロよりも5馬身差以上、前にいるようなことがあればレイデオロが後塵を拝す可能性はあります。
有馬記念は当年の中山の2000m超の重賞の連対馬が好走する傾向があり、今年、該当するのはレイデオロ(オールカマー1着)とミッキースワロー(AJCC2着)のみ。データ的にも軽視できませんし、血統的にもプラス材料があります。
ここでレイデオロが好走した重賞の結果に注目すると【トニービン持ちの馬が好走している】ということがわかります。
神戸新聞杯:キセキ[2着]
ジャパンC:シュヴァルグラン[1着]
オールカマー:ダンビュライト[2着]
天皇賞(秋):キセキ[3着]
※ダービーは超スローで異質だったので列記しないが、スワーヴリチャード[2着]がトニービン持ち
これはレイデオロが自身の武器であるスタミナを発揮できるようなペースになった場合、トニービンのスタミナも活きることを示しています。今回の出走馬からトニービン持ちを抽出すると以下の3頭。
・キセキ
・シュヴァルグラン
・ミッキースワロー
筆者は【レイデオロが実力を発揮できるようなペースで流れる】前提で馬券を組む予定です。現時点で考えている買い方は
有馬記念の印(枠順発表前)
◎レイデオロ
〇ミッキースワロー
▲キセキ
△シュヴァルグラン
△モズカッチャン
三連複1頭軸 ◎-〇▲△ 6点
[追記]
有馬記念の印(枠順発表後)
◎レイデオロ
〇ミッキースワロー
△キセキ
△モズカッチャン
△ミッキーロケット
△マカヒキ
馬連・ワイド ◎-〇
三連複1頭軸 ◎-〇△ 10点
モズカッチャンはトニービン持ちではないものの中山向きの先行力があること、そして何よりこの馬は休み明けよりも2走目のほうが走る傾向が強く、エリザベス女王杯よりもパフォーマンスを上げてくる可能性を考えると買い目に入れるべきだと判断します。
理想の展開はキセキがレースを引っ張る。これが直線入り口まで続けば、おそらくキセキが2,3着に入って配当は安いが、損をすることはない。
しかしキセキに秋4戦目の疲れがあって道中失速、そこで代わりにマクってきたミッキースワローが上位争いを演じるというシナリオに備えます。あとキセキはそこまで器用な馬ではないので、東京→中山替わりはマイナスで、実力を認めつつ3番手に下げました。
相手はもう少し増やしてもいい気はしますが、キセキが馬券圏内に来た場合はトリガミになるリスクが高まるので、それであれば◎からの馬連4点を追加するほうがよいのではないかというのが筆者の考え。もっとも筆者の馬券はそんなに当たりませんのであしからず(笑)
[追記]
まずキセキに関しては外枠に入ったことでハナには行きづらくなった点、そして当週の追い切りがJCよりは下降線。天皇賞・JCと使えていた首が使えなくなってきており、信頼度が低いと判断し印を下げました。シュヴァルグランはさすがにこの枠だと厳しいので消します。
代わりにミッキーロケットとマカヒキを入れました。ミッキーロケットは上記に記した「Nureyev持ちのキングカメハメハ産駒」ということで3着はあるかもしれません。ただ本馬自身は中山は2回走ってともに負けていますので、トゥザ兄弟ほどは期待しません。マカヒキに関しては、この枠順でイン突きができる騎手を考えた場合、岩田騎手が一番有力と考え、押さえに加えます。
では、皆さん、よい有馬記念にしてください。
レイデオロのことを応援してくれたら嬉しいです!
(文=桜木悟史) @satoshi_style
2018年12月20日 15:37
キングカメハメハ産駒は勝ってないし
父系をキングマンボ系
あるいはミスタープロスペクター系まで広げても有馬勝ってる馬はいませんよね
ダービー馬のエイシンフラッシュや宝塚記念馬のスイープトウショウも有馬は負けている